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いざという時に困らない!家族も安心できる「終活」の始め方と実践ポイント

【掲載日】2025.05.13
いざという時に困らない!家族も安心できる「終活」の始め方と実践ポイント
目次
  1. 終活とは何か?~今あらためて注目される理由~
  2. 残りの人生を前向きに過ごすための終活のメリット
  3. 実際に何から始める?終活の基本ステップ
  4. 忘れがちな「デジタル終活」と現代の課題
  5. 自分の意思を伝える「エンディングノート」と「遺言書」
  6. 誰が動くのか?信頼できる人・機関を見つける準備

終活とは何か?~今あらためて注目される理由~

かつて「人生の終わり」といえば、どこか暗く重たいイメージを伴うものでした。しかし近年では、その概念が大きく変わりつつあります。「終活」という言葉に代表されるように、自らの人生を振り返り、残された時間をどう充実させていくかに関心が集まり、老若を問わず幅広い世代で終活に目を向ける人が増えています。

終活という言葉は、「人生の終末に向けた準備や心構え」を意味する造語であり、自分の最期を見据えてさまざまな情報や意思を整理する活動です。財産や医療に関する希望をまとめたり、葬儀の形式やお墓のことを考えたりするほか、身の回りの整理を進めるなど多岐にわたります。また、これらの準備を通じて、残された家族が困らないように配慮するという点でも注目されています。

残された家族が困らないように配慮

この終活がこれほどまでに社会的関心を集めるようになった背景には、いくつかの社会的な変化があります。まず第一に挙げられるのが、「平均寿命の延び」「少子化」の並行です。かつては子どもや孫に看取られる最期が一般的でしたが、現在では独居高齢者の増加や、兄弟姉妹が少ない家庭構成の中で、人生の最終段階を自らの手で管理する必要性が高まっています

また、高齢化に加えて、医療技術や通信手段の発達によって、生き方や死に方の選択肢が広がったことも理由のひとつです。以前であれば「病院で亡くなるのが当たり前」とされていた終末期の過ごし方も、在宅医療やホスピスの普及によって選択の幅が生まれました。その結果、「自分らしい最期を自分で決めたい」という価値観が受け入れられやすくなっています。

さらに、核家族化や都市部への人口集中も終活を後押ししています。たとえば、地方に住む高齢者のもとに、都会で働く子どもたちが頻繁に帰省できるとは限りません。訃報の連絡先がわからなかったり、遠隔地での遺品整理に苦労したりといった経験から、「生前に準備しておくべきだった」と感じる家族は少なくありません。そうした反省や実体験が、次の世代の終活への意識を高める要因になっているのです。

終活の重要性は、決して「死を意識する」ことだけにとどまりません。むしろ、自分自身の価値観を整理し、これからどう生きるかを再構築する「ライフデザイン」のひとつといえます。第二の人生をどのように送るかを計画し、今後の人生の質を高めるために行う前向きな行為なのです。

たとえば、「これからの趣味をどう楽しむか」「生活資金をどのように管理するか」といった計画も、実は終活の一環です。また、日常の延長として少しずつ取り組めるため、「終活を始めるのに早すぎる」ということはありません。むしろ、心身ともに元気なうちにこそ、自分の考えを明確にし、実行に移す余裕があります。

社会的な背景だけでなく、個人の生き方や考え方の多様化も、終活という活動に柔軟性を持たせています。誰かのためではなく、自分の意志で、自分らしい生き方・終え方をデザインする。それが、今の終活のあり方であり、これからの高齢社会を支える大きな鍵となるのです。

残りの人生を前向きに過ごすための終活のメリット

終活という言葉には「終わりの準備」という印象がつきまとうものですが、実際には“これからの時間をより良く生きるための活動”としての側面が強くなっています。人生の最終章に向けて歩みを進める中で、「やり残しを減らす」「不安を解消する」「自分の希望を整理する」といった前向きな効果が、多くの人の背中を押しています

まず特筆すべきは、心の不安が和らぐという点です。高齢期に差し掛かると、「病気になったらどうしよう」「施設に入るときの費用は足りるだろうか」「自分が亡くなったあと、家族は大丈夫だろうか」といった漠然とした不安を抱えがちです。これらを見て見ぬふりをしていると、漠然としたストレスが日々積み重なり、気づかぬうちに生活の質を下げてしまうことがあります。

しかし、終活のプロセスを通して、そうした心配事を「見える化」し、一つずつ対処していくことで、心が軽くなるという変化が起こります。たとえば、「財産の内訳を整理しておこう」「いざというときの医療の希望を書き残そう」といった具体的な行動を取ることで、自分の状況を冷静に把握でき、不要な心配を減らすことができます。

また、終活には“生きがい”を再発見するきっかけとなる面もあります。仕事を引退し、子育てもひと段落した頃、自分の役割が見えなくなってしまう方は少なくありません。そんな中で、これまでの人生を振り返り、「何に価値を感じてきたか」「何を大切にしてきたか」を改めて見つめ直すことで、新たな目標や活動に結びつくことがあります。手紙を書いておく、アルバムを整理する、趣味を深める、日記をつけるといったささやかな行動が、自分らしい時間を育ててくれるのです。

整理する

そして、終活は生活の「整理整頓」のきっかけにもなります。物にあふれた暮らしは、心にも雑念を生みがちです。長年保管していた物の中には、自分にとっては大切な思い出でも、他人にはその意味が伝わらないものもあります。必要な物・手放す物を見極める作業は、自分自身を整える時間にもつながります。結果として、身軽に日々を過ごせるようになり、生活にメリハリや爽快感が生まれるのです。

さらに、終活を通じて「今の生活を大切にしよう」という意識が芽生えるのも大きな変化です。将来への備えを整えることで、これからの毎日を安心して過ごせる土台ができます。終活は未来のリスクを回避するだけでなく、“今を安心して生きるための備え”でもあるということです

誤解されやすい点ですが、終活を始めるのに「遅すぎる」「早すぎる」といった明確な線引きはありません。むしろ、「まだ大丈夫」と思っているうちに時間が過ぎてしまい、いざというときに備えが整っていないままになってしまうケースも少なくありません。元気なうちにこそ、楽しみながら少しずつ自分のための終活に取り組むのが理想的です。

「備えること」と「生きること」が自然と結びついた活動。それが、現代における終活の本質です。家族のために、そして何より、自分自身がこれからの時間を穏やかに、納得をもって過ごすために。終活は、未来を明るく照らす第一歩なのです。

実際に何から始める?終活の基本ステップ

終活の必要性やそのメリットを感じたとしても、いざ始めようとすると「どこから手を付ければいいのかわからない」と戸惑う方は少なくありません。そこで、はじめて終活に取り組む方に向けて、無理なく進められる基本のステップをご紹介します。重要なのは、完璧を目指すことではなく、「できることから少しずつ」始めていくことです。

実際に何から始める?終活の基本ステップ

最初のステップとしておすすめなのが、身の回りの物の整理です。いわゆる「生前整理」とも言われる作業で、長年の生活の中で増えた持ち物の中から、本当に必要なものとそうでないものを見極め、整理・処分していく取り組みです。たとえば、古い衣類や使わなくなった電化製品、押し入れの奥で眠っている書類や雑貨など、身の回りには意外と「もう使わないけれど放置しているもの」が多く存在します。

これを少しずつ片づけていくことで、住環境が快適になるのはもちろん、自分がいなくなった後に家族が遺品整理で苦労するリスクを減らすことができます。特に一人暮らしの方や高齢のご夫婦世帯では、残された遺族が何を捨ててよいのか判断できず、時間と労力をかけてしまうケースが多いため、このステップは非常に有意義です。

次に、医療や介護に関する希望の整理も欠かせません。突然の病気やケガで意思の疎通が難しくなる前に、「どのような医療処置を受けたいか」「どこで療養したいか」「延命治療は希望するか」といった意思を明確にしておくことで、いざという時に家族が判断に迷わず対応できます。特に近年では、終末期医療の選択肢が多様化しており、本人の意思確認が極めて重要になってきています。

これとあわせて、保険証、医療機関、服薬履歴などの情報をまとめておくことも重要です。万が一救急搬送された際にも、これらの情報があることでスムーズに医療機関とのやり取りが可能となります。

また、終活の中でもよく話題に上るのが、葬儀の形式や希望の明文化です。近年は、身内だけで執り行う「家族葬」や、通夜・告別式を省略した「直葬」など、葬儀のかたちは多様化しています。どのようなスタイルを望むかを考えておくことは、遺族にとっても心の準備につながりますし、葬儀会社の選定や予算の確保といった現実的な準備も始めやすくなります

明文化

さらに、自分の死後に関わる情報を整理するために有効なのが、エンディングノートの活用です。個人情報や交友関係、財産の所在や各種契約の内容、医療・介護・葬儀・納骨の希望など、後に残された人に伝えておきたい情報を一冊にまとめておくことで、あらゆる場面で家族の負担を軽減することができます。

そして、忘れてはならないのが、誰がその情報を受け取り、手続きや実行に動いてくれるのかという点です。家族の中でも誰に託すのかを決めておいたり、頼れる第三者や専門機関と連携を取っておいたりすることは、終活を「計画」で終わらせず、「実行可能な備え」に変えるための鍵となります。

これらのステップを踏むことで、終活は単なる準備ではなく、自分の生き方を改めて見つめ直す時間となります。「何からやるか」で悩むよりも、「まずひとつ始めてみる」ことが、終活を充実させる第一歩です。整理・記録・共有という三本柱を意識しながら、ゆっくりと自分のペースで進めていきましょう。

忘れがちな「デジタル終活」と現代の課題

終活というと、財産やお墓、医療や葬儀など“目に見えるもの”を対象にした準備に意識が向きがちです。しかし、私たちの暮らしがインターネットと密接に結びつく現代において、もう一つ見逃せないのが「デジタル終活」です。スマートフォンやパソコンに蓄積された情報、ネット上の契約やサービス、これらの管理が後回しにされると、死後に思わぬトラブルが発生することもあります。

まずは「デジタル終活」とは何かを整理しておきましょう。これは、故人が使用していたデジタル機器やインターネット上のデータ・アカウントに関する整理・管理を指す概念です。ここには、メールアカウント、SNS、クラウドストレージ、ネットバンク、通販サイト、サブスクリプションサービス、写真データ、動画、パスワードの記録などが含まれます。

  1. 住み慣れた自宅での生活を維持できるため、精神的な安定が保たれやすい。
    1. メールアカウント
    2. SNS
    3. クラウドストレージ
    4. ネットバンク
    5. 通販サイト
    6. サブスクリプションサービス
    7. 写真データ
    8. 動画
    9. パスワード

たとえば、日々利用していた動画配信サービスやクラウドストレージが、亡くなった後も課金されたまま放置されるケースがあります。これらの契約は「利用を終了します」という申請を行わない限り、自動的に更新され続け、結果として遺族が意図しない形で料金の支払い義務を負うことにもなりかねません。特に、クレジットカードとひもづいたサービスは注意が必要です。

また、スマホやPCにロックがかかっており、中の情報にアクセスできないままになってしまうと、重要な連絡先や思い出の写真、大切な文書ファイルなどが永遠に失われてしまう可能性もあります。こうした「デジタル遺品」の存在が、遺族の心の整理や手続きの妨げになることもあるのです。

このようなトラブルを回避するためには、生前の段階でデジタル情報の棚卸しを行い、必要な情報を一覧化しておくことが非常に重要です。すべてを細かく記録するのは大変でも、「どのサービスを使っていたか」「どこにデータがあるか」「パスワードはどのように管理しているか」といった概要を整理するだけでも、残された人の負担は大きく軽減されます。

その際に便利なのが、前章でも触れたエンディングノートのデジタル版です。紙のノートに書いても構いませんし、パスワード付きのデジタルメモや専用アプリを利用する方法もあります。重要なのは、「その情報がどこにあるのか」「誰がそれを引き継ぐのか」を明確にしておくことです。

「物の整理」に加えて「情報の整理」も必須の作業

また、デジタルの中には「見られたくないデータ」も含まれているかもしれません。個人的なメモ、過去のメッセージ履歴、趣味に関するファイルなど、人によっては死後に開示されたくない内容が含まれていることもあるでしょう。そういった場合には、信頼できる第三者に「削除してほしいデータ」や「見せたくないファイル」の所在を伝えておく、または生前に自ら処理しておくという選択肢も大切になります。

現代の終活では、「物の整理」に加えて「情報の整理」も必須の作業となっています。物理的な遺品とは違い、デジタル遺品は存在が見えづらく、しかも無形であるがゆえに後回しにされがちです。しかし、今やスマートフォン一台に、人生の記録と日常生活のほぼすべてが詰まっている時代です。だからこそ、デジタルの側面からも、自分の最期に備えておく必要があるのです

手元のスマホやパソコンを開いて、「どんなサービスに登録しているか」「家族に引き継ぐべき情報はあるか」と見直してみること。それだけでも立派なデジタル終活の第一歩です。未来の自分と、支えてくれる家族のために、今日からできることを一つずつ積み重ねていきましょう。

自分の意思を伝える「エンディングノート」と「遺言書」

人生の最終章に向けて、どれだけ思いや準備を整えていたとしても、それが家族や周囲の人に伝わらなければ、その意志は形になりません。終活の中でも、自分の考えをきちんと“言葉”として残すことはとても重要です。そこで活躍するのが、「エンディングノート」「遺言書」という二つのツールです。それぞれの役割と特徴を理解することで、どのように使い分け、何を残すべきかが明確になります。

自分の意思を伝える「エンディングノート」と「遺言書」

まず「エンディングノート」ですが、これは法律的な効力を持たないものの、家族にとって非常に参考になる情報を記録できる自由度の高いノートです。書き方や内容に決まりはなく、どのような形式であっても、自分の考えや希望を伝える手段になります。たとえば、入院した際の連絡先やかかりつけの医師の情報、ペットの世話について、家族への感謝の言葉、供養の希望など、法的手続きに関わらない「心の部分」まで幅広く残せるのが特徴です。

エンディングノートは、「あれもこれも書かないと」と構えてしまうと、書き出せずに終わってしまうこともあります。最初は「誰に何を伝えたいか」「自分がいないときに困ることは何か」という視点で、最低限の項目から書き始めてみると良いでしょう。たとえば、以下のような項目は特に役立ちます。

  1. 連絡してほしい人のリスト(親族、友人、仕事関係など)
  2. 所有している資産の概要(銀行口座、不動産、証券、保険など)
  3. 利用しているサービスや契約(光熱費、クレジットカード、会員サイトなど)
  4. 医療や介護についての希望(延命治療の可否、施設入居の希望など)
  5. 葬儀や供養の方法(宗派、会場、形式、費用の範囲など)
  6. 大切な想いや感謝の言葉(配偶者や子ども、友人などに宛てたメッセージ)

こうした情報は、残された家族にとって非常に助けとなります。葬儀の形式や支払い手続きのために奔走する中で、「本人の希望がどこにも書いていない」となると、精神的な負担も大きくなります。

葬儀の形式や支払い

一方で、「遺言書」は法律に基づいた正式な文書であり、特に相続に関する事項においては、法的効力を持つことが最大の特徴です。たとえば「この不動産を長男に相続させたい」「特定の人に財産を渡したい」といった希望は、エンディングノートに書いても効力を持ちません。きちんと希望を実現させるためには、民法で定められた形式に沿って遺言書を作成する必要があります。

遺言書にはいくつかの形式がありますが、よく使われるのは「自筆証書遺言」「公正証書遺言」です。前者は費用をかけずに作成できますが、形式不備や紛失のリスクがあります。後者は公証人が関与することで信頼性が高く、争いが起きにくくなるという利点があります。どちらを選ぶかは本人の状況や希望によって異なりますが、大切なのは「誰に何を渡したいか」を明確にし、それを実現できる形にしておくことです。

遺言書

また、遺言書を有効に機能させるためには、「遺言執行者」の指定も忘れてはなりません。これは、遺言書の内容に沿って手続きを行ってくれる人物をあらかじめ選んでおく制度で、信頼できる家族や、司法書士・弁護士などの専門家に依頼することも可能です。

エンディングノートと遺言書は、性質も目的も異なるものですが、どちらも「自分の思いを誰かに伝える」という終活において欠かせないツールです。日々の暮らしの中で「伝えておきたいことがある」「整理したい情報がある」と感じたとき、まずは書き留めることから始めてみましょう。言葉にすることで初めて、自分の気持ちや望みが整理され、そして周囲にとっても“その人らしさ”を尊重するための道しるべとなるのです。

誰が動くのか?信頼できる人・機関を見つける準備

終活に取り組む上で、忘れてはならない視点があります。それは「自分の意思や準備を、実際に動いてくれる人は誰なのか?」という問いです。どれほど丁寧に情報をまとめ、希望を書き残しても、実行してくれる人がいなければ、せっかくの終活も形になりません。家族や親族に頼れるとは限らない時代だからこそ、「託す相手の確保」は、終活における根幹といっても過言ではないのです。

誰が動くのか?信頼できる人・機関を見つける準備

現代の日本社会では、単身世帯や子どものいない夫婦、高齢者同士の兄弟姉妹など、親族との関係性が多様化・希薄化しています。その中で、「いざというときに誰に助けを求めればいいのか」が明確でないまま高齢期を迎えている方も少なくありません。体調が急変したとき、施設への入所が必要になったとき、あるいは死亡後の手続きが発生したとき、そうした局面では、周囲の誰かが手を差し伸べてくれることが不可欠です。

最も基本的な形は、家族に託すことです。子どもや配偶者が近くにいて信頼関係も築かれているなら、話し合いを通して希望を共有し、何をお願いしたいかを明確にしておくのが理想的です。しかし、「親族に頼れない」「負担をかけたくない」という事情がある場合は、他の選択肢を視野に入れる必要があります。

こうしたニーズに応じて、身元保証や死後事務を代行する専門サービスが普及してきました。たとえば、NPO法人や一般社団法人が提供する「生前契約サービス」では、契約を通じて本人の意思を代弁し、入院時の手続き代行、施設の身元保証、葬儀・納骨の実施、遺品整理など、家族に代わって対応してくれる仕組みがあります。

また、司法書士や弁護士、信託銀行などの専門家に業務を依頼するケースも増えています。法律的な知識を持つ彼らは、遺言執行や財産管理、死後の清算手続きなど、専門性の高いサポートを提供してくれるため、信頼性も高いのが特徴です。費用は発生しますが、確実な手続きを望む方にとっては、安心できる選択肢となるでしょう。

第三者サービスを検討

このような第三者サービスを検討する際には、慎重な事業者選びが欠かせません。契約の内容が明確であるか、対応できる業務範囲が自分の希望と合っているか、長期にわたってサービスを維持できる運営基盤があるか、そうした視点で比較検討することが重要です。中には、本人の死後まで責任をもって対応することを前提としない業者も存在するため、契約前には必ず複数社から話を聞き、信頼できるところを見極めるようにしましょう。

さらに、たとえ親族や専門機関に頼るとしても、その人たちが「何を引き受けるか」「どこまで対応してくれるか」を共有する作業が必要です。事前の話し合いをせずに突然任せる形になれば、トラブルの原因にもなりかねません。責任の所在や判断基準が曖昧なままでは、せっかくの準備も空回りしてしまいます。

信頼できる人を見つけるという行為は、「自分を託す相手に、心からの信頼を寄せる」ということでもあります。それは、終活を「独りで抱え込むもの」から「誰かと共有するもの」へと変える大きな一歩です。手続きの代行だけでなく、精神的な安心感も得られるこの過程こそが、終活を前向きであたたかい活動へと導いてくれるのです。

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