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認知症を遠ざける暮らし方|予防に効く習慣と早期発見のヒント

【掲載日】2025.05.28
認知症を遠ざける暮らし方|予防に効く習慣と早期発見のヒント
目次
  1. 認知症の発症リスクを下げるには|日常習慣がカギを握る
  2. 生活改善で発症率が変わる?世界が注目する14のリスク因子
  3. 実践したい6つの予防習慣|食事・運動・対人関係の工夫
  4. 年齢ごとに異なる対策|20代から意識したい世代別予防ポイント
  5. 認知症に効果が期待される食材|脳にうれしい日々の献立とは
  6. 自覚のない初期症状に気づくには|家族や周囲ができるサインの見つけ方
  7. 気づいたときの行動が未来を守る|受診・相談・生活改善のすすめ

認知症の発症リスクを下げるには|日常習慣がカギを握る

認知症は生活習慣と深く関係している

認知症と聞くと、加齢とともに避けがたい現象のように思われがちですが、実際にはその発症リスクを大きく左右するのは、日々の生活習慣であることが多くの研究から明らかになっています。

食事、運動、睡眠、社会とのつながりなど、身近な行動の積み重ねが、脳の健康を長く保つためのカギとなります。

予防は「今」から始めることができる

認知症は遺伝的な要因や加齢による変化だけでなく、40代・50代からの生活の積み重ねにも影響されます。つまり、予防は高齢者になってからではなく、若いうちからの意識と行動で進めることが可能なのです。

いま実践できることが、将来の自立した暮らしの支えになります。

世界的な医療専門誌である「ランセット」が示した認知症の予防研究では、発症リスクの最大45%が生活習慣の改善によって軽減できると発表されています。これは、単なる予防論ではなく、医学的根拠に基づいた数字です。

その中でも重要とされる14のリスク因子には、聴力の低下うつ病高血圧社会的孤立など、誰にでも起こりうる身近なものが含まれています。以下に、その一部をわかりやすく整理しました。

リスク因子 改善の方向性
聴力低下 補聴器の早期使用で対話機会を増やす
うつ病 早期診断と心療内科のサポート
社会的孤立 地域活動や趣味での人間関係づくり
高血圧 減塩と有酸素運動の取り入れ

これらはどれも、すぐに大きな投資や特別な知識を必要とするものではありません。「気づいたときにできることから始める」という姿勢が、もっとも重要な出発点なのです。

特に日本では、少子高齢化の影響もあり認知症の発症率は年々上昇傾向にあります。2025年には高齢者の約5人に1人が認知症を発症すると推計されており、これは誰にとっても他人事ではない数字です。

こうした社会背景の中で、私たち一人ひとりが自分の生活を見直すことは、自分自身だけでなく家族、社会全体にとっても大きな意義を持ちます。

生活習慣が認知機能に与える影響は、年齢に関係なく蓄積されていきます。これは悪い意味でも、良い意味でも捉えることができるでしょう。たとえば、喫煙をやめることで血流が改善され、脳への酸素供給がスムーズになれば、記憶力や集中力の低下を緩やかにすることが期待できます。

また、社会との関わりが少なくなっている方には、地域の健康講座やボランティア活動に参加するなどの方法もおすすめです。こうした活動は会話や協力を伴い、脳に刺激を与えるうえに、目的を持って動くことが心の張りにもつながります。

逆に、孤立したまま過ごすと、脳が受ける刺激の総量が減ってしまい、加齢とともに進む神経の変化がより加速されやすくなります。特に聴力や視力の低下は、外部からの情報が制限される要因となり、結果として認知機能の低下を招くこともあるため注意が必要です。

ここで大切なのは、「できることを増やす」のではなく、「無理なく続けられることを見つける」ことです。体調やライフスタイルは人それぞれ異なります。目指すべきは完璧なルーティンではなく、自分に合ったスタイルを継続することなのです。

重要なポイント

  • 日常的な運動や栄養バランスの取れた食事が脳に良い影響を与える
  • 社会参加は認知機能の低下を防ぐ手段として有効
  • 生活習慣病の予防は認知症の予防にもつながる
  • 早期からの意識と取り組みが未来の自立生活を支える

「まだ若いから大丈夫」と思っていても、実際にはその「まだ若い今こそ」が、将来の備えとして最適なタイミングです。認知症の予防は、特別なことではなく、毎日の過ごし方をほんの少し見直すことから始まります。

まずは、今日の食事を見直してみる。エレベーターの代わりに階段を使ってみる。1日5分だけ散歩をする。誰かに電話をかけてみる。そういった日々の選択が、脳の健康を支える大きな力になります。

これからの時代、長く健康でいきいきと暮らしていくためには、身体のケアと同じくらい「脳のケア」が重要になってきます。だからこそ、認知症を遠ざける暮らし方を、今から一緒に考えていきましょう。

生活改善で発症率が変わる?世界が注目する14のリスク因子

認知症予防は「特別な対策をする」ものと考えがちですが、実際には私たちが日々選択している生活習慣が発症リスクに大きな影響を及ぼしています。医学誌『ランセット』が発表した大規模研究では、認知症の原因となるとされる14のリスク因子を特定し、それらを改善することで発症リスクを最大45%低減できる可能性があると報告されました。

この14の因子は、いずれも生活の中で気をつけることによって改善可能な内容が中心です。「少しの変化を意識すること」が未来の自分自身を守る鍵となります。

14のリスク因子と改善ポイント

教育

幼少期の教育機会の有無が将来の認知機能に影響。生涯学習はどの世代にも重要。

聴力低下

難聴は会話の減少や孤立につながりやすいため、補聴器の早期利用が有効。

高コレステロール血症

動脈硬化が脳血管に影響しやすく、バランスのよい食生活で管理が必要。

うつ病

メンタル不調は認知機能低下と関連が深く、早期の対応が求められる。

頭部外傷

転倒や事故による頭部の損傷は、長期的な脳へのダメージにつながる。

運動不足

運動は脳への血流を促し、神経細胞の活性化を助ける。毎日の歩行が予防に効果的。

喫煙

脳血管の収縮や酸素供給低下により、認知症の発症リスクが高まる。

ここまでの7つの因子だけでも、生活習慣に密接に関わるものが多く含まれており、改善の余地が大いにあります。次に紹介する後半の7因子も含めて、自分に当てはまるものがないか、チェックしながら読み進めていきましょう。

糖尿病

血糖値の乱高下は脳への負荷を高め、神経細胞に悪影響を与える可能性があります。

高血圧

高血圧により脳内の血管が脆くなり、脳血管性認知症のリスクが上がります。

肥満

肥満は糖尿病や高血圧のリスク因子であり、複合的に発症リスクを高めます。

過度の飲酒

アルコールによる脳の萎縮や神経機能の低下が問題視されています。適度な飲酒を意識しましょう。

社会的孤立

人との関わりの減少は、脳への刺激不足に直結します。交流の場を持つことが鍵です。

大気汚染

微細な汚染物質が神経組織に影響を与え、長期的な脳機能低下を引き起こすリスクがあります。

未治療の視力低下

視覚情報の減少は認知機能に大きな影響を与えるため、早期に適切なケアを行うことが大切です。

日常生活で始められる対策とは

上記で紹介した14の因子の多くは、生活習慣の見直しによって改善が可能です。たとえば、日々の運動を取り入れることによって高血圧や肥満、糖尿病への対策になり、また定期的な人との会話を通じて社会的孤立やうつの予防にもつながります。補聴器や眼鏡の使用をためらわず、外からの情報を積極的に取り入れる姿勢も、認知機能の低下を防ぐうえで効果的です。

つまり、生活の中でちょっとした工夫や意識を持つだけで、複数のリスク因子を同時にカバーできるのです。これまで意識していなかった習慣を少し変えてみることが、将来の自分を守る確かな一歩になるでしょう。

認知症を遠ざけるための第一歩は、「知ること」「気づくこと」「行動すること」。今の自分にできることから始めてみませんか。

実践したい6つの予防習慣|食事・運動・対人関係の工夫

認知症予防には、日々の生活習慣を意識的に整えることが鍵となります。ただ「良いとされていること」を知るだけではなく、それを自分の日常にどう取り入れていくかが重要です。ここでは、実践しやすく、効果が期待される6つの習慣を紹介します。

① バランスの取れた食生活

青魚や野菜、果物、大豆食品を取り入れた脳に優しい献立が推奨されます。EPAやDHA、ビタミン群、ポリフェノールなどが脳神経をサポート。

② 定期的な運動習慣

ウォーキングや軽い体操などの有酸素運動が血流を促進し、認知機能の維持に貢献します。1日20~30分を目安に継続しましょう。

③ 社会的交流の継続

人と会話をする機会は、脳の前頭葉を刺激し、認知機能の維持に重要です。地域活動やオンライン交流も積極的に活用しましょう。

④ 趣味への取り組み

将棋や手芸、音楽などの趣味は知的活動を支え、モチベーションを維持する手助けになります。継続的に楽しめることがポイントです。

⑤ 質の高い睡眠

深い睡眠中に脳は老廃物を排出し、神経細胞の回復が促進されます。寝具や室温、就寝前の過ごし方を整えることで質が向上します。

⑥ 感覚機能のケア

視力や聴力の衰えに早く気づき、補聴器や眼鏡などで補うことが認知刺激を保ちます。年1回は検査を受けましょう。

6つの予防習慣は、それぞれが独立しているわけではなく、複合的に作用することで相乗効果を発揮します。たとえば、「運動」を習慣化すると「睡眠の質」が向上し、「趣味の維持」につながる活動としても機能します。

【生活に取り入れる実例】

  • 朝のウォーキング(有酸素運動)+午前中の読書(知的活動)
  • 昼食後の片づけを終えたら友人と電話(社会交流)
  • 夕食は魚と野菜を中心に(食習慣)
  • 寝る前にストレッチ、スマホを使わない(睡眠習慣)

また、高齢者の中には人と関わる機会の減少から生活のメリハリを失ってしまうケースも多く見られます。そのような方に対しては、地域のボランティア活動や家庭菜園など、小さな目標や社会的役割を持つことが、心のハリを取り戻す良いきっかけになります。

実際に、複数の習慣を組み合わせて継続している人ほど、認知機能の維持率が高いという研究報告もあります。「できることから始めて、少しずつ広げていく」という姿勢が大切です。

無理をせず、自分のペースに合わせて取り入れること。そうすることで予防習慣は自然に日常に根付き、長期的な認知機能のサポートにつながります。

年齢ごとに異なる対策|20代から意識したい世代別予防ポイント

認知症予防は高齢期になってから始めるものと思われがちですが、実際には若い年代からの生活習慣が将来のリスクを左右するといわれています。そこで、各年代ごとに意識したい予防の視点と行動ポイントをまとめました。

【年代別予防ポイント 早見インフォチャート】

年代 特徴 意識する予防行動
20代 健康意識が低く不規則な生活 睡眠・食事・ストレス対策の習慣化
30~40代 仕事・子育てで多忙 運動不足・疲労蓄積を避ける仕組み化
50代 生活習慣病リスクが上昇 健康診断とメンタルケアの定期チェック
60代以降 初期認知症の兆候が出やすい かかりつけ医との連携と社会参加の継続

このように、年代によってリスクの形も予防方法も変わってきます。それぞれのライフステージに合わせた取り組みが、将来の認知機能維持を支える大きな要素となります。

以下では、さらに各世代の特徴を掘り下げながら、行動目標の設定例を交えて解説していきます。

【20代・30代】将来の備えを作る「生活習慣の土台づくり」

若年層にとって認知症はまだ遠い話に思えるかもしれませんが、この時期の習慣が30年後の脳に影響を与えると言われています。

  • 規則正しい睡眠を意識し、夜型生活を控える
  • ストレス管理として週1回のリラックス習慣を設ける
  • 野菜・発酵食品中心の食生活を心がける

【40代・50代】見直しと再構築「生活習慣の再設計期」

この年代では、仕事や家庭での役割が多くなる分、自分のケアが後回しになりがちです。健康診断の数値や気になる症状が増えたらチャンスと捉え、生活全体を再設計するタイミングです。

  • 毎月1度はセルフチェックで生活習慣を振り返る
  • 定期的に人と会い、仕事以外の会話の時間を作る
  • 軽い運動や趣味の時間を習慣に組み込む

60代以降は「予防」から「早期発見と対応」が重要になります。

最近もの忘れが増えた、判断が鈍くなったと感じる場合は、かかりつけ医に相談し、必要に応じて認知症検査や血液検査を受けることで、認知機能の変化を把握できます。外出や人との交流も引き続き重要な要素です。

このように、それぞれの年代でやるべきことは異なりますが、どの時期でも「今の自分にできること」を見つけて続けることが、未来の自分の脳を守る最善の道となるのです。

認知症に効果が期待される食材|脳にうれしい日々の献立とは

認知症の予防において、日々の食事は薬以上に重要な「脳の栄養源」です。特定の食材が認知機能の維持に好影響を与えるという報告は数多く、食卓の選び方ひとつで未来の脳を守る手立てになるといっても過言ではありません。

近年、アルツハイマー型認知症などの研究では、慢性的な炎症や酸化ストレスが脳細胞の変性を引き起こすとされており、抗酸化作用や抗炎症効果のある栄養素が特に注目されています。

また、糖尿病や高血圧といった生活習慣病と認知症の発症リスクの関連も指摘されており、血糖や血圧のコントロールに寄与する食品も積極的に摂りたいところです。

ここでは、特に効果が期待される5つのカテゴリに分けて、代表的な食材とその働きをご紹介します。

青魚(DHA・EPA)

サバ、イワシ、サンマなどに豊富。脳内の神経細胞を保護し、炎症を抑える作用で認知機能を支えます。

緑黄色野菜・果物

ビタミンCやE、ポリフェノールなどの抗酸化成分が豊富。脳細胞の酸化ストレスを抑制します。

大豆製品

納豆、豆腐、味噌など。女性ホルモンに似た働きを持つイソフラボンが、神経保護作用に関与します。

これらの食材をいかに日々の献立に取り入れていくかが、実践の鍵になります。

「認知症予防に効果が期待される食材」は、毎日の食卓に無理なく組み込めるものばかりです。では、それらをどのように献立に活かしていけばよいのでしょうか。

【1日の献立例】脳をいたわるバランス食

  • 朝食:納豆と小松菜の味噌汁、玄米ごはん、キウイフルーツ
  • 昼食:サバの味噌煮、ブロッコリーのお浸し、雑穀ごはん
  • 夕食:鶏胸肉のグリルとトマトのサラダ、豆腐のスープ、ぶどう

※間食にはナッツ類やヨーグルトを選ぶと、栄養バランスを保ちやすくなります。

一方で、控えるべき食習慣にも注意が必要です。認知症リスクを高める可能性がある食生活の傾向は以下の通りです。

こうした食習慣は、生活習慣病の温床になるだけでなく、脳の老化を加速させる要因にもなり得ます。食生活を見直す際には、ただ「体にいいものを食べる」のではなく、「何を減らすか」も同時に考えることが重要です。

また、食事は単なる栄養補給ではなく、コミュニケーションや喜びと結びつく体験でもあります。家族と一緒に食卓を囲む、誰かに料理をふるまう、旬の食材を取り入れて会話のネタにするなど、脳にとって心地よい刺激を与える要素として食事をとらえてみてください。

「何を食べるか」以上に「どんな気持ちで食べるか」もまた、認知症予防にとって欠かせないポイントなのです。

自覚のない初期症状に気づくには|家族や周囲ができるサインの見つけ方

認知症の兆候は、本人が最も気づきにくいものです。初期段階では日常のなかに紛れるような小さな変化であることが多く、周囲の理解や観察力が早期対応に直結します。特に家族や身近な人が「いつもと何か違う」と感じる感覚こそが、最も確かなサインを示している場合があります。

ただし、老化による自然な変化と認知症の始まりとを見極めるには、冷静な観察と継続的な関わりが必要です。本人に自覚がない場合、自己申告には限界があるため、周囲がどれだけ的確に変化を拾えるかが鍵となります。

早期に見られる変化のグラデーション

  • 軽微な変化:財布や鍵の置き場所を時々忘れる、日時の誤認が増える
  • 注意が必要な変化:同じ話を何度も繰り返す、予定を頻繁に忘れる、趣味への関心が薄れる
  • 深刻な兆候:慣れた道で迷う、身なりや衛生状態に無頓着になる、感情の起伏が激しくなる

変化に気づくための視点として有効なのが、「日常の基準」とのズレです。その人らしい生活リズムや言動パターンからどれだけ逸脱しているかを客観的に捉えることで、違和感を発見しやすくなります。

例えば、几帳面だった人が部屋を散らかしたまま過ごすようになった、毎日欠かさなかった散歩をぱったりやめた、といった変化は「心のサイン」である可能性があります。これらを加齢とだけ捉えず、変化の質を意識することが重要です。

加えて、見逃されがちなのが身体的・感情的な小さなサインです。以下のような例は、見過ごされやすい一方で、初期症状の現れとして重要なヒントになる場合があります。

観察すべきサイン例

  • 料理の味付けが極端に変わる、もしくは調理の手順を間違える
  • 外出後に「どこに行っていたか」を自分でもはっきり説明できない
  • 人前で話すことを避けるようになる(自信の低下)
  • 感情の起伏が以前より激しくなる、理由もなく不安や怒りを訴える
  • 無表情、口数が減るなど、対人場面での反応が鈍くなる

こうした変化は一度では判断できませんが、「なんとなく変わった」と感じたことを記録に残しておくと、後の判断材料になります。可能であれば、家族間で共有できる簡単なチェックシートや日記を活用し、日々の様子を客観的に見つめ直すことが望ましいです。

また、本人に伝えるタイミングと伝え方も重要です。本人が気づいていない、あるいは自尊心を強く持っている場合、いきなり病院受診を促すと反発を招くこともあります。「最近少し疲れているように見えるから、体の調子を診てもらおう」といった、間口を広げた言い方でアプローチすることが円滑な対応につながります。

受診を促す際は、身近な医療機関(かかりつけ医)を活用するのも一つの方法です。いつもの先生に相談してみようという形であれば、心理的なハードルを下げられます。加えて、本人の健康診断や他の症状を理由に受診するなど、自然な流れを作る工夫も効果的です。

そして忘れてはならないのが、周囲が「焦らず、騒がず、見守る」姿勢を持つことです。変化に気づくことは大切ですが、過剰な反応や不安の押し付けは逆効果になることもあります。大切なのは、変化の「兆し」を正しく受け止め、専門家の力も借りながら、支える体制を整えていくことです。

自覚のない初期症状は、静かに、しかし確実に生活の中に現れます。日々の何気ない会話、行動、表情から、本人のサインを拾い上げられるよう、家族や周囲の人々の視点と関わりが求められます。

気づいたときの行動が未来を守る|受診・相談・生活改善のすすめ

認知症はある日突然始まるわけではありません。日常生活の中で少しずつ現れる小さな変化に、私たち自身や周囲が気づけるかどうかが、その後の生活の質を大きく左右します。変化に気づいたときこそ、未来を守る最初の一歩。ここでは、認知症予防と早期対応に向けた具体的なアクションを紹介します。

受診のすすめ

「少し変かも?」と思ったら、かかりつけ医に相談することが重要です。本人も安心しやすく、必要があれば専門機関へスムーズに繋いでもらえます。

相談できる場所を知る

市区町村の地域包括支援センターは、高齢者に関する総合相談窓口です。介護や福祉、医療の連携も行っており、家族からの相談も受け付けています。

生活の見直し

睡眠・食事・運動など基本的な生活習慣を整えることが、認知症リスクの軽減につながります。医療的な支援と並行して、身近なケアが支えになります。

認知症が疑われる状態でも、早期の対応で進行を緩やかにしたり、生活の工夫によって症状を穏やかに保ったりすることが可能です。家族や本人が悩みを抱え込まず、気軽に相談できる環境づくりも予防と支援の大切な一環です。

また、認知症予防に向けた生活改善は、「いま始める」ことが最も効果的です。以下のような取り組みは、今日からでも無理なくスタートできる行動です。

こうした行動は、小さくても確かな「予防」の一歩です。認知症という言葉に過度な不安を抱える必要はありません。大切なのは、変化に気づける感性と、そこから一歩踏み出す行動です。

もし家族が不安を感じているならば、声をかけあい、共有し、専門家の手を借りてください。気づいた今が、最も行動すべき時です。その行動が、本人にとっても家族にとっても、よりよい未来を築く力になります。

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