おひとりさまの老後に備える!リスクと対策を徹底解説

おひとりさまの老後とは?増加する単身高齢者の現状
日本では、高齢化が進む中で「おひとりさま」として老後を迎える人が増えています。昔は、家族と同居するのが一般的でしたが、時代とともにライフスタイルや価値観が変化し、高齢者が単身で暮らすケースが増加しました。この傾向は、今後も続くと予想されており、単身高齢者が抱える課題への対策が求められています。ここでは、日本におけるおひとりさま高齢者の現状や、その背景について詳しく見ていきます。

1-1高齢化社会と単身高齢者の増加傾向
日本の高齢化は世界的に見ても進行が早く、2023年時点で65歳以上の高齢者人口は全体の約29.1%に達しています。これは、世界でもトップクラスの高齢化率であり、今後ますます高齢者の割合が増加すると見込まれています。その中でも単身で暮らす高齢者の数が増えていることが、大きな社会課題となっています。
1980年時点で65歳以上の単身世帯は約88万人でしたが、2022年には672万人に増加し、40年間で約7.6倍に増加しました。特に女性の単身世帯が多く、65歳以上の女性の22.1%が一人暮らしをしているのに対し、男性は15.0%となっています。これは、平均寿命の差により、女性が最終的に一人暮らしになる可能性が高いためです。
単身高齢者増加の背景
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結婚しない・
離婚する人が増えている昔と比べて「結婚しない」選択をする人が増え、未婚率が上昇しています。また、離婚する人も多くなり、配偶者と死別する以前に「おひとりさま」になるケースが増えています。
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配偶者との死別による
単身世帯化夫婦で暮らしていても、どちらかが先に亡くなることで単身世帯になる可能性が高くなります。特に女性は平均寿命が長いため、最終的に一人暮らしとなる確率が高い傾向にあります
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子どもの
独立と別居昔は、子どもと同居するケースが多かったですが、現在は子どもが独立して遠方に住むことが増え、高齢者が一人暮らしをするケースが多くなっています。
1-2おひとりさまの生活環境と住居問題
高齢になってからの住まいは、単身者にとって大きな課題の一つです。特に、賃貸住宅に住む高齢者は、貸主からの入居拒否や契約更新の際の不安を抱えるケースが多くなっています。賃貸オーナー側は、孤独死や家賃滞納のリスクを懸念するため、高齢者の賃貸契約を渋るケースが少なくありません。
高齢者の住まいに関する主な課題
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賃貸住宅の入居が難しい
高齢になると、孤独死リスクなどを理由に賃貸物件への入居が制限されることがあります。
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バリアフリーでない住宅が多い
高齢になって足腰が弱くなると、段差や階段がある家では暮らしにくくなります。しかし、賃貸住宅ではバリアフリー化が進んでいない物件も多く、不便を感じる人が増えています。
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高齢者向けの住宅の選択肢が増加
最近では、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」や「高齢者向けシェアハウス」など、高齢者が暮らしやすい環境の住まいも増えてきています。
1-3おひとりさまの生活費と老後資金の現実
おひとりさまの老後において、経済的な不安は最も大きな課題の一つです。夫婦であれば生活費を分担できますが、単身世帯では全ての生活費を一人で負担する必要があります。高齢者の多くは年金を主な収入源としていますが、単身世帯では収入が少なく、貯蓄を取り崩しながら生活している人が多いのが現状です。
単身高齢者の平均収支(2023年・総務省)
-
実収入(主に年金)
126,905円
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消費支出
145,430円
-
月の赤字額
約18,525円
このデータからも分かるように、年金だけでは毎月の生活費が不足しており、貯蓄を切り崩す必要があることが分かります。特に、賃貸住まいの場合、家賃が負担となり、生活費の不足がさらに深刻になる可能性があります。

1-4おひとりさまが直面する社会的な問題
単身で老後を迎えることにより、社会的な孤立が進みやすいという課題もあります。特に、仕事をリタイアした後は、社会との接点が減り、人と関わる機会が極端に少なくなるケースも珍しくありません。
おひとりさまが抱える社会的課題
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社会との関わりが減少し、孤独感が強まる
家族がいないことで、話し相手がいない日が続き、精神的に落ち込むケースが増えています。
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緊急時の対応が難しい
一人暮らしでは、病気やケガをした際にすぐに助けを呼ぶことが難しく、対応が遅れることがあります。
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見守りの体制が必要
最近では、自治体や民間企業による「見守りサービス」が充実してきています。例えば、センサーを活用した安否確認や定期訪問サービスなどがあり、社会とのつながりを維持する手段となっています。
1-5これからの時代に求められる「おひとりさま老後」の準備
おひとりさまとして老後を迎える場合、「自分の生活をすべて自分で管理する」という覚悟が必要になります。そのためには、早い段階から準備をしておくことが大切です。
![]() |
年金以外の収入源を考える |
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終の棲家をどうするか |
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かかりつけ医を持つ |
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地域活動や趣味のコミュニティへの参加 |
老後に潜む主なリスクとは?経済・健康・精神面の課題

おひとりさまとして老後を迎える場合、さまざまなリスクが伴います。高齢者に共通する問題もありますが、単身で暮らすことでより深刻化するケースが多く、特に経済的な困難や健康上のリスク、精神的な問題が懸念されます。ここでは、老後に潜むリスクをカテゴリーごとに整理し、それぞれの課題について詳しく見ていきます。
2-1経済的リスク|収入減少と生活費の不足
おひとりさまの老後において最も切実な問題のひとつが、収入の減少による生活費の不足です。高齢になると働く機会が減り、収入の大部分を年金に頼ることになります。しかし、単身世帯では収入が限られており、日々の生活費や突発的な出費に対応するのが難しくなることが多いです。
主な経済的リスク
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年金だけでは生活費が不足する
65歳以上の単身世帯の平均年金収入は約13万円前後。これでは家賃・食費・医療費を賄うのが難しくなります。
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医療費・介護費の増加
高齢になると通院や治療が必要になり、医療費がかさむことが避けられません。また、介護サービスを受ける場合、自己負担額が増えることもあります。
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貯蓄の取り崩しによる老後破産
生活費が不足し貯金を取り崩していくと、寿命が尽きる前に資金が底をつく可能性があります。
2-2健康面のリスク|病気やケガによる生活の変化
高齢者は年齢とともに体力や免疫力が低下し、病気やケガをしやすくなります。特におひとりさまの場合、病気になった際に助けてくれる家族がいないため、治療や介護の準備をしておかないと生活が立ち行かなくなることがあります。
主な健康リスク
2-3孤独による精神的リスク|社会との関わりが減少する危険性
単身で暮らす高齢者の多くが、孤独や社会的孤立の問題を抱えています。仕事をリタイアすると人と接する機会が減り、家族や親しい友人がいないと、会話をする機会すら極端に少なくなってしまいます。
精神的リスクの主な問題
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孤独感による精神的な負担
孤独を感じる時間が増えると、うつ病の発症リスクが高まります。
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社会との接点が減少し、認知機能が低下する
人と話す機会が減ると、脳への刺激が減少し、認知症の進行が早まる可能性があります。
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趣味や生きがいを見つけられず、無気力になる
仕事を辞めた後に「何をしていいかわからない」と感じる人が多く、そのまま無気力な生活に陥ることがあります。
2-4孤独死のリスク|発見の遅れとその影響
おひとりさまの老後で最も深刻な問題のひとつが孤独死のリスクです。
東京都のデータによると、2022年に発生した自宅での孤独死のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は約7割にのぼります。高齢者の単身世帯が増えることで、今後ますます孤独死が増加することが懸念されています。
孤独死が起こる要因
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病気の発作やケガによる急死
一人暮らしでは病気やケガの際に助けを呼べず、そのまま亡くなるケースが多くあります。
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自宅の維持管理が困難になる
持ち家の場合でも、掃除や修繕が大変になり、住環境の悪化が進みやすい。
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終の棲家を考えていないと、突然の転居が必要になる
体が動かなくなったときに、慌てて施設を探すことになるケースが多い。
2-5財産管理の問題|判断能力が低下した際の対策不足
認知症や病気によって判断能力が低下すると、財産管理ができなくなるリスクがあります。高齢になると、詐欺のターゲットになりやすく、意図しない契約や借金を抱える危険性も高まります。
財産管理に関する主なリスク
特に単身高齢者は、電話や訪問販売による詐欺被害に遭うケースが増えています。
遺産や財産を適切に管理できない遺言書を作成していないと、財産の処理がスムーズに進まない。
後見人や信託制度を利用していない判断能力が低下する前に、財産管理を委託する方法を考えておくことが重要。
経済的リスクへの対策|資産形成と節約のポイント
おひとりさまの老後において、経済的リスクは最も深刻な課題の一つです。収入が減少する中で、年金だけで生活を維持するのは難しく、医療費や介護費用といった予想外の出費にも備える必要があります。ここでは、おひとりさまが老後に困らないための資産形成や節約方法について詳しく解説していきます。

3-1老後の生活費を把握する|収支のバランスを考える
おひとりさまとして老後を迎える際、まず重要なのは「どのくらいの生活費が必要なのかを把握すること」です。生活費の見通しが立っていなければ、無計画に貯金を取り崩し、想定より早く資金が尽きてしまう可能性があります。
単身高齢者の平均的な収支(2023年 総務省データ)
-
実収入(主に年金)
126,905円
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消費支出
145,430円
-
月の赤字額
約18,525円
このように、年金収入だけでは毎月の生活費が足りず、不足分を貯蓄で補う必要があるのが現状です。また、持ち家か賃貸かによっても生活費は大きく変わるため、自身のライフスタイルに合わせた資金計画を立てることが重要です。
老後の生活費を見積もる際のポイント
- 食費・住居費・医療費など、固定費の割合を確認する
- 賃貸の場合は、家賃が支出の大部分を占めるため、住まいの選択を慎重に行う
- 長寿化を考慮し、100歳までの資金シミュレーションを行う
3-2老後資金の貯蓄方法|計画的な資産形成を考える
おひとりさまとして老後を迎える場合、「年金+α」の収入を確保するための資産形成が必要です。老後の資金計画を立てる際は、「貯蓄」「運用」「節約」の3つをバランスよく組み合わせることがポイントになります。
老後資金を貯める方法
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積立預金でコツコツ貯蓄する収入があるうちに自動積立を設定し、強制的に貯蓄する
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iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する老後資金を税制優遇付きで積み立てる制度。60歳まで引き出せないため、老後資金確保に最適
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つみたてNISAを利用して資産運用する少額から長期的な投資を行い、資産を増やす
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退職金の使い道を慎重に決める退職金は老後資金の大きな柱になるため、計画的に管理することが重要
3-3年金の繰下げ受給を活用する|もらえる額を増やす工夫
公的年金は、原則65歳から受給できますが、「繰下げ受給」を選択することで、受給開始を遅らせ、その分毎月の受給額を増やすことが可能です。
1ヵ月繰下げるごとに0.7%増額され、最大75歳まで繰下げると、42%増の年金を受給できます。
年金繰下げ受給のメリット
- 受給額を増やし、安定した収入を確保できる
- 貯蓄を取り崩すペースを抑えられる
- 働ける間は収入を確保しつつ、年金を後回しにできる
ただし、繰下げを選択するとその間の生活費をどう賄うか考える必要があるため、退職後に十分な資産があるかを確認した上で選択することが重要です。
3-4老後の支出を抑える|固定費の見直しと節約術
おひとりさまの老後資金を長持ちさせるには、「支出を減らす工夫」も欠かせません。特に、固定費を見直すことで、大きな節約効果が期待できます。
支出削減のための具体的な方法
- 賃貸住まいの場合は、より安い物件への引っ越しを考える
- 格安スマホやインターネットプランの見直しで、月数千円の節約が可能
- 電力会社の変更やLED電球への交換で光熱費を抑える
- 新聞・動画配信サービスなど、利用していない契約を見直す
こうした固定費の見直しを行うことで、毎月の支出を大きく抑えることができます。
3-5老後も収入を得る|働き続ける選択肢
年金だけでは生活が難しい場合、「老後も収入を得る」という選択肢もあります。
最近では、シニア向けの再雇用制度や短時間労働の求人も増えており、元気なうちは仕事を続けることで、収入を確保することが可能です。
老後におすすめの仕事

- シニア向けの短時間パート・アルバイト
- これまでの経験を活かした在宅ワーク(ライター・講師など)
- シルバー人材センターの活用
高齢になっても収入を確保することで、貯蓄の減りを抑え、安心して暮らすことができます。
3-6公的支援を活用する|知らないと損する制度
おひとりさまの老後には、公的支援制度を活用することで、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
意外と知られていないものも多く、しっかりと情報を集めておくことが重要です。
利用できる公的支援の例
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年金生活者
支援給付金低所得の年金受給者を対象に、年金に加算される給付金
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高齢者向け
住宅改修助成制度バリアフリー改修などにかかる費用の一部を助成
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医療費
助成制度収入によっては、医療費の負担を軽減する支援を受けられる
3-7老後の経済的リスクは「事前の準備」がカギ
おひとりさまの老後において、経済的な準備ができているかどうかが、その後の生活の質を大きく左右します。
「貯蓄」「年金の活用」「節約」「働く」「公的支援の活用」など、さまざまな選択肢を組み合わせながら、計画的に資産管理をしていくことが大切です。
健康面のリスクと対策|おひとりさまが長く健康で暮らすために
おひとりさまとして老後を迎える場合、健康管理は最大の課題のひとつです。
加齢とともに体力や免疫力が低下し、病気やケガのリスクが高まるのは避けられません。また、健康を維持できていたとしても、通院や介護が必要になったときに、身近に頼れる人がいないことで問題が深刻化することがあります。
ここでは、おひとりさまが直面する健康リスクを理解し、それに対してどのような対策ができるのかを内容を掘り下げてご説明します。

4-1病気・ケガへの備え|日常の健康管理と早期発見がカギ
加齢とともに、病気やケガのリスクが高まります。特に慢性疾患(糖尿病・高血圧・心疾患など)や認知症、転倒による骨折などは、おひとりさまの生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、脳卒中や心筋梗塞などの突然の発症は、一刻を争うケースも多く、発見の遅れが命取りになることもあります。
主なおひとりさまの健康リスク
生活習慣病(高血圧・糖尿病・心疾患など)
- 長年の生活習慣が影響し、高齢になるほど発症リスクが上がる。
- 放置すると、合併症(脳卒中・心筋梗塞・腎不全など)につながる恐れがある。
転倒・骨折のリスク
- 高齢になると筋力が低下し、転倒しやすくなる。
- 特に女性は骨粗しょう症になりやすく、転倒による骨折が寝たきりの原因となることも多い。
認知症の発症リスク
- 会話の機会が減り、脳への刺激が少なくなると、認知症リスクが上昇する。
- 進行すると判断力が低下し、日常生活が困難になる。
健康リスクを防ぐための対策
おひとりさまとして健康を維持するためには、「予防・早期発見・環境の整備」の3つが重要になります。
4-2医療・介護が必要になったときの準備|頼れる制度と支援を知る
おひとりさまの場合、病気やケガで入院や介護が必要になった際に、身近に頼れる人がいないことが大きな問題となります。そのため、元気なうちに医療や介護の準備をしておくことが重要です。
入院や介護が必要になったときの主な問題点
- 多くの病院では、入院時に保証人を求められるため、身寄りがいないと手続きが困難になる。
- 退院後、自宅での生活が難しくなるケースも多く、介護サービスの利用が必要になる。
- 入所には身元保証人が求められることが多く、準備していないと入所がスムーズに進まない。
医療・介護に備えるための対策
近年では、身元保証会社や地域包括支援センターを通じて、保証人がいなくても医療・介護を受けられる制度が整いつつあります。早めに情報を集め、いざという時に困らないように準備を進めましょう。
4-3孤独による健康悪化を防ぐ|社会とのつながりを維持する
おひとりさまの老後で、意外と見落とされがちなのが「孤独」による健康リスクです。孤独感が続くと、精神的なストレスが増し、うつ病や認知症のリスクが高まることが指摘されています。
孤独が健康に与える影響
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うつ病・認知症の発症率が上昇
- 定期的に会話する相手がいないと、気持ちが沈みやすくなる。
- 脳への刺激が減ることで、認知症リスクが高まる。
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体調不良の発見が遅れる
- 他者との接点が少ないと、病気の初期症状に気づきにくい。
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生活の質が低下する
- 1人の時間が長いと、生活リズムが乱れやすくなる(食事の偏り・運動不足など)。

孤独を防ぐための対策
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地域のコミュニティに参加する
サークル活動や趣味のグループに積極的に参加
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定期的に外出する習慣をつける
散歩やカフェでの時間を楽しむ
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オンラインでのつながりを活用する
SNSやオンライン講座で交流を増やす
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ペットを飼うことを検討する
動物との触れ合いが精神的な安定につながる
おひとりさまの老後を充実させるためには、「社会とのつながりを意識的に作る」ことが重要です。孤独を感じにくい環境を整えることで、健康的で楽しい老後を送ることができるでしょう。
4-4おひとりさまが健康的な老後を送るために
おひとりさまとして老後を迎えるにあたり、病気・ケガ・介護・孤独といった健康リスクへの備えが不可欠です。しかし、事前に適切な準備をしておけば、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。
精神的リスクへの対策|おひとりさまが孤独を防ぎ、心豊かに暮らす方法
おひとりさまとして老後を迎える際、孤独や社会とのつながりの減少が精神的リスクを高める要因になります。
仕事をリタイアすると人との交流が減り、家族や友人が少ない場合は会話をする機会が極端に少なくなることもあります。
また、健康問題や経済的不安と相まって、うつ病や無気力状態に陥る危険性もあるため、早めの対策が必要です。
ここでは、おひとりさまが孤独を防ぎ、心の健康を維持する方法について確認していきましょう。

5-1社会とのつながりを持つ|人と関わる機会を増やす工夫
おひとりさまの老後において、最も大切なのは「社会との接点を維持すること」です。孤独感が強くなると、脳の働きが低下し、認知症やうつ病のリスクが上昇することが分かっています。
社会とのつながりが減少すると起こる問題
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うつ病のリスクが高まる
会話が少ないと感情の発散ができず、気持ちが沈みやすくなる。
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認知機能の低下
会話の機会が減ると、脳の刺激が少なくなり、認知症の進行が早まる。
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生活リズムの乱れ
外出や人との交流がないと、日中も家にこもりがちになり、昼夜逆転しやすい。
「人とつながる機会を意識的に作ることが、おひとりさまの精神的健康を守る最も効果的な方法」といえます。
特に、興味のある活動に参加することで、無理なく人間関係を築くことができ、孤独を感じにくくなるでしょう。
5-2生きがいを持つ|やりがいや楽しみを見つける重要性
社会とのつながりを維持することと同じくらい大切なのが、「自分自身の生きがいを持つこと」です。
おひとりさまの老後は自由な時間が多くなる一方で、目的を持たずに過ごすと、無気力な生活になりがちです。
生きがいを失うと起こる問題
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・日々の生活にメリハリがなくなる
- 何もすることがないと、寝る時間や食事の時間が不規則になり、体調を崩しやすくなる。
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・心の充実感が減る
- 「誰かの役に立っている」「何かを成し遂げている」という実感がなくなると、精神的に不安定になる。
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・健康維持への意欲が低下する
- 目的を持たない生活は、運動不足や食生活の乱れにつながり、病気のリスクを高める。
生きがいを見つけるための方法
「自分にとっての楽しみや目標を持つこと」が、充実したおひとりさまの老後を過ごすためのカギになります。
特に、何か新しいことに挑戦することは、脳の活性化にもつながり、認知症予防の効果も期待できるでしょう。
住まいと終活の準備|おひとりさまが安心して暮らせる環境を整える
おひとりさまの老後を快適に過ごすためには、「どこで暮らすか」と「亡くなった後の準備をどうするか」が重要なポイントになります。
特に、高齢になると賃貸住宅への入居が難しくなり、介護が必要になった際の住まいの確保が課題となります。
また、終活を行わずにいると、亡くなった後の手続きや遺品整理などが周囲に負担をかけることにもなりかねません。
ここでは、おひとりさまが安心して暮らせる住まいの選択肢と、終活の準備についてわかりやすくご説明します。

6-1老後の住まいをどうするか?安心できる居住環境を選ぶ
おひとりさまとして老後を迎える場合、「どこで暮らすか」を早めに決めておくことが大切です。
賃貸・持ち家・高齢者向け施設など、選択肢はいくつかありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
住まいの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
持ち家 | 住み慣れた環境で暮らせる、家賃がかからない | 修繕費用がかかる、管理が難しくなる |
賃貸住宅 | 必要に応じて引っ越しができる、バリアフリー物件が選べる | 高齢者は入居審査が厳しくなる、家賃負担が続く |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 見守りサービスがある、介護対応可能な物件もある | 家賃・管理費が高め |
介護施設(特養・有料老人ホームなど) | 介護サービスが受けられる、医療ケアが充実 | 入居費用がかかる、待機期間が長い場合がある |
住まい選びのポイント
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住み続けることができる環境か?
持ち家なら修繕や管理、賃貸なら契約更新の可否を考える
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医療・介護サービスを受けやすいか?
近隣に病院があるか、バリアフリー設備が整っているか
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経済的に無理がないか?
賃貸なら家賃の負担、施設なら入居費用を事前に確認
おひとりさまとして老後の住まいを考える際には、「住みやすさ・安全性・経済的負担」のバランスを考慮することが大切です。
6-2終活の準備|亡くなった後の手続きをスムーズにするために
終活とは、「自分が亡くなった後に、周囲に迷惑をかけないよう準備をすること」です。
おひとりさまの場合、家族がいないことも多いため、亡くなった後の手続きや財産整理を誰が行うのかを決めておくことが重要になります。
終活で準備すべき主な項目
- 遺産の分配方法を明確にし、意図しない相続トラブルを防ぐ。
- 親族がいない場合、友人や慈善団体に財産を遺贈することも可能。
- 葬儀・納骨・住居解約・財産整理など、亡くなった後の手続きを代行してもらう契約。
- 身寄りのない人にとっては非常に有用な制度。
- 医療・介護の希望、連絡先リスト、銀行口座・資産情報などを書き残しておく。
- 遺言書と異なり、法的拘束力はないが、残された人の負担を軽減できる。
- 高齢者施設や病院に入る際に保証人が求められるため、親族がいない場合は信頼できる人や専門業者を利用する。
終活を始めるポイント
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法的手続きを確認する
遺言書・死後事務委任契約・成年後見制度の活用を検討
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財産をリスト化しておく
通帳・証券・不動産などの一覧を作成し、誰が管理するか決める
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葬儀・お墓の希望を決めておく
生前に契約できる「終活プラン」なども活用可能
終活を進めておくことで、亡くなった後に生じる問題を未然に防ぎ、安心して生活することができるでしょう。
おひとりさまの老後を支援する公的サービスと制度|知っておくべき支援策
おひとりさまとして老後を迎えるにあたり、「万が一のとき、どこに相談すればいいのか?」「利用できる支援制度はあるのか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
実際、高齢者の生活を支援する公的制度は数多く存在しますが、知らないと活用できないまま困ってしまうことも多いのが現状です。
ここでは、おひとりさまが老後に安心して暮らすために利用できる公的サービスや支援制度について詳しく解説します。

7-1生活や健康を支援する公的サービス|困ったときに頼れる窓口
おひとりさまの老後では、「生活の困りごとをどこに相談すればよいのか?」という問題が発生しやすくなります。
親族や知人に頼れない場合でも、行政の支援制度を活用することで、生活の不安を軽減できるでしょう。
主な公的支援サービス
支援内容 | 相談窓口 | 概要 |
---|---|---|
地域包括支援センター | 各自治体 | 高齢者の生活全般の相談が可能。介護や福祉の情報提供も。 |
社会福祉協議会 | 市町村ごとに設置 | 生活資金の貸付制度や福祉サービスの紹介を行う。 |
生活困窮者自立支援制度 | 市役所・区役所 | 低所得者向けの生活支援や就労支援を提供。 |
シルバー人材センター | 各市町村 | 高齢者向けの仕事の紹介や就労支援を実施。 |
緊急通報システム | 各自治体 | ひとり暮らしの高齢者向けに、緊急時の通報ボタンを設置。 |
無料・低額診療制度 | 一部医療機関 | 経済的に困窮する人を対象に医療費の減額や免除を提供。 |
-
地域包括支援センターに事前相談する住んでいる地域で受けられるサポートを確認
-
利用可能な福祉サービスをリスト化しておくどの支援を受けるか事前に整理
-
緊急時の対応を考える自治体の緊急通報システムなどを活用
おひとりさまの老後では、「困ったときにどこに頼れるかを知っておくことが何より重要」です。
まずは身近な自治体の支援窓口をチェックし、必要な情報を集めておきましょう。
7-2経済的負担を軽減する公的支援制度|老後の生活費・医療費・介護費の対策
おひとりさまとして老後を迎える際、「経済的に困ったときに受けられる支援」も押さえておきたいポイントです。特に、医療費や介護費の負担が大きくなるため、公的な支援を活用して負担を軽減することが重要です。
老後の経済的負担を軽減する公的支援
制度名 | 支援内容 |
---|---|
年金生活者支援給付金 | 一定の低所得者を対象に、年金に加えて給付金を支給。 |
高額療養費制度 | 医療費が一定額を超えた場合、その超過分を払い戻し。 |
介護保険制度 | 介護が必要になった場合、介護サービスの利用費を補助。 |
住宅改修費助成制度 | バリアフリー改修(手すり設置など)にかかる費用の一部を助成。 |
生活保護制度 | 経済的に困窮している場合、最低限の生活費を支援。 |
経済的支援を受けるためのポイント
- 年金額を事前にシミュレーションし、必要な支援を把握する
- 医療・介護の費用がどのくらいかかるのか試算する
- 支援制度の申請方法を確認し、早めに準備する
老後に向けた資金計画を立てる際、公的支援制度を最大限活用することで、経済的な不安を軽減できます。
特に、年金や医療費の負担を減らす制度は利用しやすいものが多いため、早めに情報収集をしておきましょう。
おひとりさまの老後を支える公的支援は、意外と多く用意されています。
しかし、自分から情報を集めないと利用できないケースも多いため、早めの準備と手続きが重要です。
ここまでの内容を参考に、必要な支援制度をしっかりと活用していきましょう。