一般公益社団法人高齢者生活支援まとめ|エンディングノートとは?その目的と書き方のポイント

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エンディングノートとは?その目的と書き方のポイント

エンディングノートとは?その目的と書き方のポイント
目次
  1. エンディングノートとは?
  2. エンディングノートと遺言書の違い
  3. エンディングノートに記載すべき内容
  4. エンディングノートを作成するメリット
  5. エンディングノートを無理なく書き進めるためのポイント
  6. 書いたエンディングノートの保管方法と家族への共有の仕方
  7. エンディングノートを活用して、充実した人生を送る

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、自分の人生の終盤を迎えるにあたり、考えや希望を整理し、家族や関係者へ伝えるための記録です。特に、万が一の事態に備え、財産管理や医療・介護の方針、葬儀の意向、家族へのメッセージなどをまとめておく役割を果たします。

このノートは、遺言書のような法的な拘束力を持たないものの、残された家族が困らないようにするための情報源として大きな助けとなります

エンディングノートとは?

1-1エンディングノートの役割とは?

エンディングノートは単なるメモ書きではなく、自分の人生を振り返りながら、今後の方針を明確にするためのツールでもあります。人生の最後に向けた準備として、以下のような目的を持つことができます。

1家族への負担を軽減する
2自分自身の意思を整理する
3大切な人へのメッセージを残せる

エンディングノートは、単に死後の手続きをスムーズにするためだけでなく、「これからの人生をよりよく生きるための準備」としても活用できます。

1-2エンディングノートの特徴

エンディングノートには決まったフォーマットがないため、自分に合った形で自由に記入できるのが特徴です。

1手書きのノートを使用する
2デジタルツールを活用する
3公的機関や自治体が提供するフォーマットを利用する

1-3エンディングノートを作成する際の注意点

1法的効力はないため、遺言書とは別に作成する
2必要な情報を明確に書く
3定期的に更新する
4家族にノートの存在を知らせる

1-4エンディングノートは「今」をより良く生きるためのツール

エンディングノートは、単に死後の準備をするためのものではありません。むしろ、これからの人生をどのように過ごしたいのかを考え、今をより充実させるためのツールとして活用できます。

  • 「自分の人生で大切にしたいことは何か?」を見つめ直す
  • 「どんな最期を迎えたいか?」を考えることで、現在の生き方をより意識できる
  • 家族や大切な人に対して、どのように接していきたいかを明確にする

このように、エンディングノートを作成することで、自分の考えを整理し、より充実した人生を送るための指針を持つことができます。

次に、エンディングノートと遺言書の違いについて詳しく解説します。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書は、どちらも自身の意思を残すための重要な手段ですが、目的や法的な効力に違いがあります。それぞれの違いを理解し、適切に活用することが大切です。

2-1エンディングノートと遺言書の主な違い

項目 エンディングノート 遺言書
法的効力 なし あり
記載内容の自由度 自由(医療、介護、葬儀、財産など) 財産の分配に限定される
作成方法 自由(手書き・デジタルなど) 法律で定められた形式がある
作成費用 基本的に無料(市販のノートもあり) 数千円~数万円(公証役場利用時)
確認のタイミング いつでも閲覧・更新可能 原則として本人の死後に開封

エンディングノートは、法的な拘束力を持たないため、財産分配の指定には適していません。しかし、医療や介護、葬儀の意向、大切な人へのメッセージなどを自由に記載することができるため、補助的な役割として非常に有用です。

2-2遺言書の種類と特徴

遺言書には、以下の3つの種類があります。

1自筆証書遺言
2公正証書遺言
3秘密証書遺言

2-3エンディングノートと遺言書を組み合わせて活用する

エンディングノートと遺言書は、それぞれの特性を理解したうえで併用することで、よりスムーズな相続や意思伝達が可能になります。

例えば、「財産は長男に相続させる」と遺言書に明記し、「その理由や自分の考え」はエンディングノートに詳しく書いておくことで、相続争いを防ぐことができます。

2-4エンディングノートだけでは不十分なケース

エンディングノートはあくまで補助的なものであり、以下のような内容については正式な手続きを行う必要があります

  1. 財産の相続を明確にしたい場合
    遺言書を作成する
  2. 延命治療の拒否や臓器提供の意思を法的に示したい場合
    尊厳死宣言書や事前指示書を用意する
  3. 成年後見制度を利用したい場合
    司法書士や弁護士に相談する

エンディングノートは自由に記入できる便利なツールですが、財産相続など法的な効力が必要な内容は遺言書を作成する必要があります。どちらも目的に応じて使い分けることで、円滑な意思伝達と安心した人生設計が可能になります。

次に、エンディングノートに記載すべき具体的な内容について解説します。

エンディングノートに記載すべき内容

エンディングノートには決まった形式がなく、自由に記入できます。しかし、何をどのように書けばよいのか迷うこともあるでしょう。そこで、エンディングノートに記載すると役立つ情報を整理し、重要なポイントを交えながら詳しく解説します。

エンディングノートに記載すべき内容

3-1財産・資産に関する情報の整理

自分の財産について明確に記録しておくことで、家族が相続や手続きをスムーズに進められます。特に、どこに何があるのかをまとめておくことで、遺族が不要な手間を省くことができます。

記載しておくべき主な項目
  1. 銀行口座情報
    銀行名・支店名・口座番号・キャッシュカードの保管場所
  2. 金融資産
    株式、投資信託、債券、暗号資産(仮想通貨)などの詳細情報
  3. 不動産情報
    登記情報、所有している土地・建物の所在地、賃貸契約の有無
  4. 保険契約情報
    生命保険、医療保険、火災保険、自動車保険など
  5. 借入金・ローン情報
    住宅ローン、クレジットカードの未払い残高、消費者金融からの借り入れ
  6. 貴重品や高額な所有物の情報
    宝石、骨董品、高級車など
  7. 電子マネー・ポイントサービスの残高
    PayPay、楽天ポイント、マイルなど
ポイント
財産の所在を
明確にする
遺族が探し回らなくてもよいよう、保管場所を明記する。
借金がある場合も
正直に記載
相続放棄を検討するためにも、負債情報を整理しておく。
電子マネーや
デジタル資産も忘れずに
近年は、仮想通貨やオンライン決済サービスの財産も重要。

3-2医療・介護に関する希望を明確に

病気や老後の介護に関する希望を記載しておくことで、万が一、意思表示ができなくなった際に家族が迷わず判断できます。特に、終末医療や延命治療の方針は、事前に決めておくことで家族の負担を減らすことができます。

記載しておくべき主な項目
ポイント
医療や介護の希望は
できるだけ具体的に記載
例えば、「延命治療はしない」ではなく「胃ろうは拒否するが、酸素吸入は希望する」など詳細に書く。
介護の方針は家族と
話し合って決める
「自宅介護がいい」と思っていても、家族の負担が大きすぎる場合があるため、可能な範囲で家族と相談して決める。
保険の契約内容は
リスト化
どの保険が何に適用されるのかをまとめておくことで、家族が適切なサポートを受けやすくなる。

3-3葬儀・供養に関する希望を記録

亡くなった後の葬儀や供養に関する意向をエンディングノートに書いておくことで、家族が適切に準備を進めることができます。特に、宗教的なこだわりがある場合や、身寄りの少ない場合は、より詳細に記載することが重要です。

記載しておくべき主な項目
ポイント
家族が判断しやすいように
明確に書く
例えば、「家族葬がいい」ではなく、「10名以下の家族のみの葬儀を希望し、通夜は不要」など具体的にする。
宗教的な希望があれば
詳細に記載
例えば、「仏教の○○宗で葬儀を行い、位牌を本家の仏壇に置いてほしい」など、具体的な指示を書く。
費用の準備があるか明記
葬儀費用をすでに積み立てている場合は、その情報を記載しておくことで、家族の負担を減らせる。

3-4家族や親しい人へのメッセージを残す

エンディングノートは、家族や親しい人に感謝の気持ちを伝えたり、人生の想いを残す貴重な手段でもあります。遺言書には法的な効力を持たせる必要がありますが、エンディングノートでは自由な言葉で伝えたいことを記録することができます

記載しておくべき主な内容
ポイント
気持ちがこもった
言葉を大切にする
「これまで本当にありがとう」など、短い言葉でも想いを伝えることができる。
具体的なエピソードを
交えると伝わりやすい
「子どもの頃の旅行が楽しかった」「〇〇が得意だったね」といった思い出を記すと、より温かみのある内容になる。
感謝だけでなく、
遺された人への励ましも書く
「これからも健康に気をつけて」「困ったら周りに頼ってね」といった言葉を添えると、受け取る側の支えになる。

3-5デジタル遺産とオンラインサービスの管理

近年、スマートフォンやパソコン、SNSアカウント、ネット銀行などのデジタルデータの管理も重要になっています。特に、オンライン上のサービスは、適切に整理しておかないと、家族が手続きを進める際に大きな負担となる可能性があります

記載しておくべき主な内容
ポイント
ログイン情報は
整理して安全に保管する
家族がアクセスできるように、パスワード管理アプリや紙のメモに記録し、信頼できる人に保管場所を伝えておく。
SNSの処理方法を
明記する
亡くなった後にアカウントを削除してほしいのか、記念アカウントとして残してほしいのかを明確にしておく。
ネット銀行やサブスクは
解約手続きを忘れずに
遺族が不要な支払いを続けることがないように、解約すべきものを一覧にする。

3-6ペットの世話に関する情報を残す

ペットを飼っている場合、飼い主が亡くなった後の世話について事前に考えておくことがとても重要です。ペットが飼い主を失った場合、引き取り手がいなければ保護施設に預けられたり、最悪の場合、処分されてしまうケースもあります。エンディングノートにペットの世話について詳しく記録しておくことで、ペットの未来を守ることができます

記載しておくべき主な内容
ポイント
ペットの性格や好みを
詳細に記録する
「臆病な性格なので大きな音が苦手」「○○というおもちゃが大好き」など、できるだけ詳しく書くことで、新しい飼い主が適切に対応しやすくなる。
世話をしてくれる人の
連絡先を確保する
家族や友人に事前に相談し、了承を得た上で記載しておくとスムーズに引き渡せる。
ペットの飼育費用について
考えておく
ペットのための預金や保険を用意しておくと、新しい飼い主の負担を減らせる。

3-7知人・友人・関係者の連絡先リスト

万が一の際、家族が誰に連絡を取るべきかを整理しておくことで、スムーズに対応できます。特に、仕事関係や親しい友人、遠方の親族など、家族がすぐに把握できない人の連絡先をまとめておくことが重要です。

記載しておくべき主な内容
ポイント
家族が把握していない人も
リストアップ
家族以外の親しい人に知らせたい場合、具体的な名前と連絡先を記載しておく。
緊急時にすぐ
連絡できるようにする
例えば、「入院した場合は○○に連絡」「葬儀の手配は△△に相談」といった形で、優先度を明記する。
関係者の優先度をつけておく
「必ず連絡してほしい人」「できれば知らせてほしい人」「不要な人」と分けて書くと、遺族が混乱せずに済む。

3-8生活のこだわりや習慣について

人生の終盤に差し掛かり、介護や看護を受けることになった際、「どのように生活したいか」を記しておくことで、自分らしい暮らしを維持しやすくなります。日々の習慣やこだわりを家族に伝えることで、介護の方針を決める際の参考になります。

記載しておくべき主な内容
ポイント
日常生活の細かい
こだわりを記録
「毎朝コーヒーを飲む」「お気に入りの毛布がないと落ち着かない」など、些細なことでも書いておくと介護する側の参考になる。
精神的なケアのための
希望を記載
例えば、「介護が必要になっても本を読んでいたい」「音楽を聴く時間を大切にしたい」など、自分の心が安定する環境を伝える。
認知症や寝たきりになった際の
生活方針も考える
たとえば、「誰かと会話する機会をできるだけ増やしたい」「介護スタッフとでも良いので毎日話しかけてほしい」など。

3-9公的手続きや重要書類の保管場所

亡くなった後、家族が直面するのは、役所や金融機関でのさまざまな公的手続きです。これらの手続きをスムーズに行うためには、どこに何の書類があるのかを記載しておくことが不可欠です。

記載しておくべき主な内容
ポイント
重要書類の保管場所を
明記する
例えば、「マイナンバーカードは〇〇の引き出し」「不動産の登記証明書は△△の金庫」など、具体的に書く。
役所手続きに必要な書類を
リスト化する
家族が役所での手続きで困らないように、最低限の必要書類を明記しておく。
負担がかかる手続きは
事前に済ませておく
たとえば、「誰かと会話する機会をできるだけ増やしたい」「介護スタッフとでも良いので毎日話しかけてほしい」など

3-10相続や遺産分割の希望

エンディングノートには法的効力はありませんが、遺産の分け方についての考えを書いておくことで、家族のトラブルを防ぐ一助となります。特に、財産の分配について遺言書を作成していない場合、家族の話し合いの際に参考にされることが多いため、希望を書いておくと良いでしょう。

記載しておくべき主な内容
ポイント
遺言書を作成している場合は
その旨を記載
遺言書があるのに家族が気づかないと、遺産分割のトラブルが起こりやすい。
特定の人に譲りたい
財産がある場合は詳細に書く
例えば、「この家は長男に継がせたい」「貴金属は娘に受け継いでほしい」など。
遺品整理の方針を
明確にする
たとえば、「着物は〇〇にあげる」「本は図書館に寄付してほしい」など、細かく指示することで家族が迷わずに済む。

エンディングノートには、上記のような情報を記載することができますが、必ずしもすべて書く必要はありません。重要な部分から少しずつ書き進めていくことがポイントです。

次に、エンディングノートを作成することのメリットについて順を追ってご紹介します。

エンディングノートを作成するメリット

エンディングノートを作成することで、自分の意志を整理できるだけでなく、家族の負担を軽減したり、財産管理を円滑に進めることができるなど、多くの利点があります。

エンディングノートを作成するメリット

4-1自分の意志を明確にできる

エンディングノートを作成する最大のメリットは、自分自身の希望を明確に整理できることです。

こうしたことを考え、記録することで、自分自身の価値観を再確認する機会にもなります。また、ノートを書き進めることで、「もしものとき」に備える心の準備ができるという精神的な安心感も得られます。

ポイント
  • 自分の人生の方向性を見つめ直すきっかけになる。
  • 介護・医療・葬儀の希望を明確にすることで、家族の判断を助けられる。
  • 一度書いた内容も、気持ちの変化に応じて修正しやすい。

4-2家族の負担を軽減できる

人が亡くなった後、遺族は葬儀の手配、財産管理、公的手続きなど、多くのことを短期間で行わなければなりません。エンディングノートがあると、必要な情報がまとまっているため、家族が迷わずに手続きを進めることができます

特に以下のような場面で、エンディングノートは大きな助けになります。

  1. 「どのような葬儀を行えばいいかわからない」
    ノートに書かれていれば、その指示に従うことができる。
  2. 「財産や負債がどこにあるのかわからない」
    口座情報や重要書類の場所が記されていれば、手続きがスムーズに進む。
  3. 「ペットの世話をどうするかわからない」
    引き取り先や日常の世話について記載されていれば、適切に対応できる。
ポイント
  • 残された家族が「何をすべきか」を明確に知ることができる。
  • 遺族同士の意見の食い違いを防ぎ、トラブルを回避できる。
  • 「故人の希望を尊重できる」という精神的な安心感を遺族に与えられる。

4-3相続トラブルを防ぐことができる

遺産相続の際、相続人同士の意見が食い違うことは少なくありません。特に、故人が生前に何も意思を伝えていなかった場合、「財産をどう分けるべきか」を巡って争いになることもあります。

エンディングノートには法的効力はありませんが、財産分割の考えや、家族へのメッセージを記しておくことで、相続人の話し合いの参考になります

例えば、次のような内容を書いておくことで、トラブルを防ぐことができます。

また、財産情報をリスト化しておくことで、相続人が探し回る手間を省くことができます。

ポイント
  • 財産の所在や負債の状況を明確にしておくことで、相続手続きをスムーズに進められる。
  • 家族間の遺産争いを防ぐための指針となる。
  • 遺言書と併用することで、より法的に確実な相続手続きを実現できる。

4-4認知症や判断能力の低下に備えられる

高齢になると、認知症や病気などにより判断能力が低下し、自分の意志を伝えることが難しくなることがあります
エンディングノートを作成することで、以下のような状況に備えることができます。

また、成年後見制度の利用を考えている場合、その手続きを誰に依頼するのかを記録しておくとスムーズです

ポイント
  • 自分の判断力があるうちに、将来の希望をまとめておくことが大切。
  • 介護や治療の方針を明確にすることで、家族が意思決定をしやすくなる。
  • 成年後見制度や財産管理の方針を記録しておくことで、スムーズな対応が可能になる。

4-5精神的な安心感が得られる

エンディングノートを作成することで、「万が一のことがあっても準備ができている」という安心感を持つことができます。特に、高齢になると「家族に迷惑をかけたくない」「自分の意志をしっかりと伝えたい」という思いが強くなることがあります。

これらの気持ちを持つことができるため、エンディングノートの作成は、単なる死後の準備ではなく、残りの人生を充実させるための大切な作業ともいえます。

ポイント

4-6デジタル資産の管理ができる

近年、ネット銀行、仮想通貨、SNSアカウントなど、デジタル資産の管理が重要になっています。これらのアカウントが適切に整理されないと、遺族が手続きに苦労したり、不正アクセスのリスクが高まったりする可能性があります。

エンディングノートに記載しておくべきデジタル資産の情報
ポイント
アカウントの整理をしておく
使っていないアカウントは事前に削除し、不要なサブスクは解約しておく。
パスワード管理方法を明確にする
遺族がアクセスできるよう、パスワード管理アプリや紙のメモに記録し、信頼できる人に伝えておく。
SNSアカウントの
処理方法を決める
「Facebookは記念アカウントにする」「X(旧Twitter)は削除してほしい」などの指示を書いておく。

4-7遺品整理の方針を決められる

亡くなった後、家族が困るのが遺品整理の方法です。エンディングノートに「どの遺品をどのように処理してほしいか」を書いておくことで、家族の負担を減らすことができます。

記載しておくべき遺品整理の方針
ポイント
「処分してよいもの」と「残して
ほしいもの」を明確に分ける
「アルバムは残してほしい」「衣類は処分してよい」などの指示を明記する。
特定の人に
譲りたいものがあればリスト化
「この時計は長男に」「宝石は娘に」など具体的に書く。
遺品整理業者に
依頼するかどうかの希望を記載
「家族で整理してほしい」or「プロの業者に依頼して負担を減らしてほしい」などの方針を決めておく。

4-8終末期の過ごし方を考えることができる

エンディングノートを作成することで、終末期の生活をどのように過ごしたいかを整理することができます。高齢になると、病気や介護が必要になる可能性が高まるため、自分がどのように生きたいかを明確にしておくことが重要です。

記載しておくべき終末期の希望
ポイント
「最期の時間をどう過ごしたい」
かを明確にする
「家族とできるだけ長く一緒にいたい」「趣味を楽しみながら過ごしたい」など具体的に書く。
自宅療養か病院療養かの
希望を記す
「できる限り自宅で過ごしたい」「病院でしっかり治療を受けたい」など。
終末期医療の希望を
家族に伝えておく
例えば、「延命治療は希望しないが、痛みを和らげる治療は続けてほしい」など。

4-9家族・友人との時間を見直すきっかけになる

エンディングノートを書くことで、人生の残りの時間をどう過ごしたいのかを考える機会にもなります。普段、忙しい日々を送っていると、つい「家族や友人と過ごす時間」を後回しにしがちです。しかし、ノートを書くことで、「今のうちに大切な人ともっと時間を作ろう」と思えるようになります。

記載しておくべきこと
ポイント
「今、会いたい人リスト」を作成
「昔の親友にもう一度会いたい」「恩師にお礼を伝えたい」など。
大切な人と過ごす時間を意識する
「孫とたくさん遊びたい」「家族みんなで温泉旅行に行きたい」など、具体的な希望を書いておく。
「後悔しない人生」を考える
きっかけにする
「本当にやりたかったこと」を書き出し、今のうちに実行できるよう計画を立てる。

エンディングノートを作成することで、単に「死後の準備をする」だけでなく、人生をどう生きるかを見直す機会にもなります。自分の価値観や希望を整理し、家族や大切な人に迷惑をかけず、納得のいく人生を送るための大切なツールとして活用しましょう。

エンディングノートを無理なく書き進めるためのポイント

エンディングノートを書くことは、自分の人生を整理し、家族の負担を減らすためにとても有意義な作業です。しかし、何を書けばよいのかわからない、途中で手が止まってしまうという人も少なくありません。そこで、無理なくスムーズにエンディングノートを作成するための工夫や考え方をポイントを押さえて解説します。

エンディングノートを無理なく書き進めるためのポイント

5-1完璧を目指さず、思いついたことから書き始める

エンディングノートは公的な書類ではないため、形式にこだわる必要はありません。最初から完璧にまとめようとすると、なかなか手が進まないため、「とりあえず書き出してみる」というスタンスが大切です。

書き始める際のポイント
  1. 箇条書きやメモでもOK
    まとまった文章を書かなくても、「伝えたいこと」を一言メモしておくだけで十分役立つ。
  2. 思いついたことから順不同で記入
    目次の順番通りに書く必要はなく、書きやすいところから進める。
  3. 気が向いたときに少しずつ書く
    一気に仕上げる必要はなく、時間をかけて書き進めていく。
コツ
  • 1ページ目から書こうとせず、興味のある項目から始める。
  • あとで加筆・修正ができるので、とにかく書き出してみることが大事。
  • 文字にこだわらず、簡単なイラストや図で表現してもOK。

5-2気軽に書ける「日常のこと」から手をつける

エンディングノートは相続や医療、葬儀のことを書くためのものというイメージを持つ人が多いですが、実際にはもっと自由に書いていいものです。特に、「死後のこと」ばかりを考えていると筆が進みにくくなるため、まずは自分の日常や思い出について書くことから始めてみるのもよいでしょう。

書きやすいテーマの例
コツ
  • まずは「自分を知るためのノート」として書き進める。
  • 家族が読んで「こういう一面もあったんだ」と思える内容を入れる。
  • 楽しいことや幸せな思い出を振り返ることで、前向きに書き進められる。

5-3「もしものときの情報整理」として活用する

エンディングノートは、書き終えなくても、途中まででも十分に役立つものです。たとえば、自分が病気や事故で意識を失ったとき、家族が困らないように最低限の情報をまとめるだけでも有益です。

最低限まとめておきたい情報
  1. 持病・アレルギー・常用薬の記録
    かかりつけ医や服用している薬の名前など。
  2. 緊急連絡先リスト
    家族、親族、友人、主治医、弁護士など。
  3. 銀行口座や金融資産の一覧
    「どこの銀行に口座があるのか」だけでも書いておく。
  4. スマホやパソコンのロック解除方法
    必要最低限のデジタル資産管理。
  5. 保険証や年金手帳の保管場所
    いざというときに見つかるように明記。
コツ
  • すべての情報を完璧に書かなくても、家族が探しやすくなるだけで十分役立つ。
  • 「最低限のことだけでも書いておく」と考えると気が楽になる。
  • 項目ごとに分けて、思いついたときに少しずつ記入する。

5-4「手書き」と「デジタル」、自分に合った方法を選ぶ

エンディングノートには、手書きのノートで作成する方法と、デジタルデータ(パソコンやスマホ)で管理する方法があります。どちらが良いかは、自分のライフスタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。

手書きノートのメリット
デジタルデータのメリット
コツ
  • 「大事なことは手書き」「補助的な内容はデジタル」と併用するのもアリ。
  • デジタルで作成する場合は、家族がアクセスできるようにパスワードを管理する。
  • 「紙のノートは失くしやすい」「デジタルは家族が開けないかも」など、自分に合った方法を選ぶ。

5-5気持ちが乗らないときは「未来の自分へ手紙を書く」

エンディングノートを書くことに対して、気が進まない、気分が沈んでしまうという人もいるでしょう。そのような場合は、「未来の自分へ宛てた手紙」として、気軽に書いてみるのもおすすめです。

書く内容のアイデア
コツ
  • 「エンディングノート=死後の準備」という考えを変える。
  • 未来を考えるためのノート」として前向きに捉える。
  • 一度書いてしまえば、あとは必要な情報を追加しやすくなる。

書いたエンディングノートの保管方法と家族への共有の仕方

エンディングノートを作成した後、大切なのは「家族が適切に見つけられるように保管すること」です。せっかく書いても、家族がノートの存在を知らなければ、役立てることができません。ここでは、安全な保管方法や、家族とどのように共有すればよいのかを背景や理由も含めてお伝えします。

6-1家族が見つけやすく、かつ安全な場所に保管する

エンディングノートは貴重な個人情報が記載された大切な書類なので、見つけやすいけれども、第三者に悪用されない場所に保管することが重要です。

おすすめの保管場所
  1. 家の中の決まった場所
    本棚や机の引き出しなど、家族がすぐに見つけられる場所に置いておく。
  2. 鍵付きの引き出しや金庫
    銀行口座情報や資産リストがある場合、金庫やセキュリティボックスで管理するのも良い。
  3. 「エンディングノート専用のファイル」を作成
    他の重要書類(保険証書、遺言書、財産リストなど)と一緒にまとめておく。
  4. デジタル版の場合は、USBメモリやクラウドに保存
    家族にパスワードを伝えておくことで、アクセスしやすくする。
コツ

6-2家族とどのように共有するか

エンディングノートは死後のためだけではなく、生前から家族と話し合うためのツールとしても活用できます。

家族と共有する方法
  1. 家族会議を開く
    「エンディングノートを作成したので、こんな内容を書いたよ」と伝え、家族の意見も聞いてみる。
  2. 部分的に内容を見せる
    「財産については後でいいけど、医療・介護の希望だけは共有しておきたい」など、見せる範囲を調整する。
  3. コピーを信頼できる家族に預ける
    家族の中で特に信頼できる人(配偶者・長男長女など)に、コピーを持ってもらう。
  4. デジタルデータの場合、家族にアクセス方法を教える
    USBメモリやクラウドストレージに保存し、家族にパスワードを伝えておく。
コツ

6-3定期的に見直し・更新する

エンディングノートは、一度書いたら終わりではなく、ライフステージの変化に応じて更新することが重要です。

更新のタイミング
  1. 1年に1回、見直す習慣をつける
    誕生日や年末年始など、毎年の節目に見直すと良い。
  2. 家族構成が変わったとき
    結婚・出産・離婚・親族の他界など、ライフイベントがあったときに書き換える。
  3. 財産状況に変化があったとき
    新しい銀行口座を開設したり、不動産を購入した場合に更新。
  4. 健康状態が変化したとき
    病気の診断を受けたり、介護の必要性が高まった場合に見直す。
コツ

6-4法的に重要な事項は「遺言書」も検討する

エンディングノートは自由に書ける一方で、法的効力はありません。特に、財産分与に関する内容は、エンディングノートでは法的に認められないため、正式な遺言書を作成することが推奨されます

遺言書を検討すべきケース
コツ

エンディングノートを活用して、充実した人生を送る

エンディングノートは、単に「死後の準備をするためのもの」ではありません。「自分の人生を振り返り、家族に思いを伝え、よりよい未来を考えるためのツール」として活用できます。

エンディングノートを活用して、充実した人生を送る
エンディングノートを作成することで得られるもの
  1. 自分の人生を整理し、希望を明確にできる。
  2. 家族の負担を軽減し、スムーズな対応ができるようになる。
  3. 財産や医療・介護に関する希望を記録することで、トラブルを防ぐことができる。
  4. 「まだやりたいこと」を考えるきっかけになり、前向きな人生を送れる。
最後に、エンディングノート作成のポイント
  • 「とりあえず書く」ことが大事。完璧でなくてもOK!
  • 自分のペースで少しずつ進めると、負担なく書き進められる。
  • 家族と共有することで、さらに意義のあるノートになる。

人生の終盤を迎える準備だけでなく、「今をどう生きるか」を考えるためにも、エンディングノートを活用してみてください。

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