一般公益社団法人高齢者生活支援まとめ|親が認知症になったときの「お金の管理」完全ガイド|トラブル防止と具体的な対策7選

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親が認知症になったときの「お金の管理」完全ガイド|トラブル防止と具体的な対策7選

【掲載日】2025.05.19
親が認知症になったときの「お金の管理」完全ガイド|トラブル防止と具体的な対策7選
目次
  1. 認知症で起こる金銭トラブルとは?家族が直面しやすい現実
  2. 知らないと困る「口座凍結」のリスクとその影響
  3. 認知症の進行前に準備したい4つの管理方法
  4. どれを選ぶ?成年後見制度と家族信託の違いと選び方のポイント
  5. 「親のお金を管理する」ときに注意すべきリスクとトラブル回避術
  6. 口座凍結後の対応手段と法的な解除方法
  7. 家族間のトラブルを防ぐために守りたい3つの心得

認知症で起こる金銭トラブルとは?家族が直面しやすい現実

親が認知症になったとき、多くのご家族が最初に直面するのが「お金」に関する問題です。日々の買い物や通帳の管理といった身近な場面で、少しずつ異変が現れはじめ、次第に深刻なトラブルへと発展するケースも少なくありません。認知症によって引き起こされる金銭的な問題は、単なる「もの忘れ」では済まされない深刻な影響を及ぼします。

判断力の低下

特に注意したいのが、本人の判断力の低下です。支出のコントロールがきかなくなり、「何度も同じ物を買う」「高額な商品を衝動買いする」「現金を下ろしてどこに置いたか忘れる」など、行動に一貫性がなくなります。その結果、生活費を使い果たしてしまい、公共料金が支払えないなどの事態に陥ることもあります。

さらに深刻なのが、家族や周囲への疑念が強まることです。いわゆる「物盗られ妄想」と呼ばれる症状では、財布や通帳の置き場所を忘れたことをきっかけに、「誰かに盗まれた」と思い込むようになります。そして、その矛先が家族に向けられてしまうと、信頼関係にも大きな亀裂が生まれます。特に介護の担い手である子世代が疑われるケースが多く、介護疲れを一層加速させる原因にもなりかねません。

銀行口座の凍結

また、認知症を抱える高齢者は、特殊詐欺や悪徳商法の格好の標的となります。たとえば「還付金詐欺」「送り付け商法」といった手口は、健康な高齢者でも騙されてしまうほど巧妙なものが多く、認知症の方が自力で回避するのは非常に困難です。「警察官を装った電話でキャッシュカードを奪われる」「無料点検と称して高額なリフォーム契約を迫られる」など、被害額が大きくなることも少なくありません。

さらに忘れてはならないのが、銀行口座の凍結問題です。金融機関は認知症により判断能力の低下が明らかな場合、家族からの申し出や窓口対応の中で疑いを持つと、本人名義の口座を凍結することがあります。これは本人の資産を守るという意味では合理的な措置ですが、同時に「医療費の支払いができない」「施設入居時の契約金が引き出せない」といった、現実的な生活に深刻な支障をきたします。

このように、認知症による金銭トラブルは多岐にわたり、本人だけでなく家族の暮らしにも大きな影響を及ぼします。判断能力が少しでも残っているうちにお金の管理に関する備えを始めることが、今後の安心につながる非常に大切なポイントです。これを踏まえて、特に注意が必要な「口座凍結」のリスクとその影響について、さらに詳しくお伝えしていきます。

知らないと困る「口座凍結」のリスクとその影響

知らないと困る「口座凍結」のリスクとその影響

認知症が進行すると、思わぬ形で生活に支障が出るのが銀行口座の凍結です。これは本人や家族にとって非常に深刻な問題でありながら、事前に対策している方は多くありません。凍結というと「借金があるから」「裁判所の命令で」といったイメージを持たれがちですが、実際にはもっと身近で静かに進行します。

2つのルート

口座凍結は、大きく分けて「家族からの申告」「金融機関の判断」の2つのルートから起こります。例えば、家族が認知症の親の資産保全を目的に「通帳やキャッシュカードの扱いに不安がある」と相談した場合、銀行側は凍結の判断を下すことがあります。また、本人が窓口で不自然な受け答えをした、明らかに認知症の症状が出ていたなど、職員が判断した場合にも凍結されるケースがあります。

一度口座が凍結されると、たとえ家族であっても預金の出し入れができなくなります。この措置は、特殊詐欺や不正引き出しを防ぐためには有効ですが、日々の生活費や医療費、介護施設の入居費用といった支出に支障をきたします。特に、高額の初期費用がかかる老人ホームなどでは、預金が引き出せないことで入居のタイミングを逃すといった深刻な事態も考えられます。

口座の凍結が起きたあとに解除するため

また、口座の凍結が起きたあとに解除するためには、原則として法定後見制度の申立てが必要となります。これは家庭裁判所を通して後見人を選任してもらう手続きですが、数ヶ月かかる上に手続きが煩雑です。その間に費用を立て替えたり、親の生活を支えることが家族に重くのしかかってくるのです。

さらに見落とされがちなのが、「親が元気なときに手続きをしておけばよかった」と後悔する声が多いことです。凍結されて初めて「後見制度」「家族信託」「代理人カード」などの制度を知っても、認知能力が失われた後では選択肢が大きく制限されてしまいます。

つまり、口座凍結のリスクは、認知症の症状そのものよりも早く現実化する経済的障害ともいえるのです。

この問題に向き合うには、日常的なお金の使い方を家族で見直すとともに、判断能力があるうちに制度的なサポートを受けられる環境を整えておく必要があります。今度は視点を変えて、具体的にどのような対策が可能なのか、実践的な選択肢をご案内していきます。

認知症の進行前に準備したい4つの管理方法

認知症の発症や進行によって判断能力が低下すると、本人が自分で財産を管理することが難しくなります。このような事態に備えて、元気なうちからお金の管理を誰がどのように行うかを決めておくことが重要です。

ここでは、認知症になる前に準備できる代表的な4つの方法をご覧ください。どれも制度的に確立されたものであり、目的や家庭の状況に応じて適切な方法を選ぶことが肝心です。

1家族信託(民事信託)

家族信託(民事信託)

家族信託とは、本人が元気なうちに信頼できる家族(子など)に財産の管理・運用を託す方法です。本人を「委託者」、家族を「受託者」として契約を結び、日常の出費から不動産の処分まで幅広く対応できます。

最大のメリットは口座凍結を回避できる点です。信託契約に基づいて開設された「信託口口座」は、親が認知症になっても子が継続して管理でき、柔軟な運用が可能です。

ただし、制度利用には公正証書の作成や登記手続きが必要であり、専門家への依頼が発生するため数万円~数十万円の費用がかかる点は事前に理解しておく必要があります。

2任意後見制度

任意後見制度

任意後見制度は、本人がまだ判断能力がしっかりしている段階で、自らが後見人を選び、契約しておく方法です。判断能力が失われたとき、契約に基づいて後見が開始され、指定された人物が本人に代わって財産を管理します。

この制度の特徴は、本人の意思が反映されやすい点にあります。弁護士や司法書士などの専門家を任意後見人に指定することもでき、トラブル防止にも有効です。

ただし後見開始後は、任意後見監督人が付き、報告義務と報酬発生があるため、やや事務負担や費用がかかることに留意しましょう。

3資産承継信託

資産承継信託

資産承継信託は、主に銀行などの金融機関が提供するサービスで、将来に備えて資産の受け渡し方法をあらかじめ指定しておける仕組みです。契約によって設定された条件を満たした場合に限り、信託した資産を特定の人が引き出せるようになります。

この制度を活用すれば、認知症発症後も医療費や介護費を家族が柔軟に管理できる可能性が高まります。特に、本人の財産を将来誰に、どう使ってほしいかを明確に反映させるには有効な方法です。

ただし、サービスの名称・内容・条件は金融機関によって異なるため、具体的な手続きや手数料、利用条件については必ず各機関に直接確認するようにしましょう。

4日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業は、認知症や知的障害、精神障害により判断力が不十分な方に対し、日常生活における金銭管理や契約支援を行う公的サービスです。地域の社会福祉協議会が実施しており、信頼性が高く、費用負担も比較的軽めです。

サービス内容には、生活費の預かりと管理、公共料金や家賃の支払い手続き、通帳や印鑑の保管、福祉サービス利用契約の支援などが含まれます。1回の訪問あたりおよそ1,200円程度と手頃な利用料で利用可能です。

ただし、契約時には本人に理解力と意思表示が必要であるため、すでに認知症が進んでいる場合には制度の利用が難しい場合があります。利用の可否や具体的な内容については、お住まいの地域の社会福祉協議会に相談しましょう。

以上の4つの方法はいずれも、「親の意思がまだはっきりしているうち」に準備を始めることがカギです。それぞれの制度には費用面・契約条件・活用範囲の違いがあるため、ご家族の状況や本人の希望にあわせて最適な選択肢を見極めていきましょう。

どれを選ぶ?成年後見制度と家族信託の違いと選び方のポイント

どれを選ぶ?成年後見制度と家族信託の違いと選び方のポイント
判断力の低下に備える二大制度
判断力の低下に備える二大制度

親の認知症を見据えたお金の管理方法として「成年後見制度」「家族信託」が注目されています。いずれも本人に代わって財産管理を行う制度ですが、その仕組みや柔軟性には大きな違いがあります。

いざという時にどちらを選べばよいか悩まないためにも、2つの制度の特性と違いを正しく理解しておきましょう。

成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した後に、家庭裁判所が選任した「後見人」が本人に代わって財産管理や契約行為を行う制度です。

特徴としては以下のような点があります

  • 法的に強く保護された制度であり、本人の財産が厳格に守られる
  • 後見人は毎年家庭裁判所に報告義務がある
  • 本人のための支出に限定され、資産活用の自由度は低め
  • 一度選任された後見人は家族でも簡単に変更不可

この制度は安全性を最重視する方向けであり、不正防止や権利保護に長けていますが、柔軟な資産運用や生活費以外の支出には不向きな面もあります。

家族信託とは?

家族信託は、元気なうちに信頼できる家族と契約を交わし、あらかじめ資産の管理・運用の方法を決めておく制度です。

近年では次のようなメリットから注目されています

  • 家庭裁判所の関与がなく、柔軟な管理が可能
  • 本人が元気なうちに、自由に内容を設計できる
  • 相続対策や不動産活用にも適用しやすい
  • 親子間の信頼があれば運用がスムーズ

ただし、契約時には本人に判断能力が必要であり、認知症が進行してからでは利用できない点に注意が必要です。また、制度の仕組みを理解し、契約内容をしっかり設計するには司法書士や弁護士の協力が望ましいでしょう。

どちらを選ぶ?判断の分かれ道

成年後見制度と家族信託、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが適しているかは状況や目的によって異なります。選択の際に意識したい判断軸は、以下のようなポイントです。

契約時点で本人の判断能力があるか?
ある→家族信託、ない→成年後見
資産運用の自由度を重視するか?
重視する→家族信託
第三者のチェックや報告義務が必要か?
必要→成年後見
長期的な財産管理が目的か?
相続や不動産活用含む→家族信託
親族間の信頼関係があるか?
ある→家族信託、ない→成年後見
ケース別:こんなときはどっち?

選び方に迷う場合は、具体的な家族の状況に当てはめて考えると判断しやすくなります。

例1:親が軽度の認知症でまだ判断力がある
家族信託で柔軟な資産管理
例2:すでに判断力がかなり低下
成年後見制度を活用
例3:不動産の売却や複数の財産活用を視野に
家族信託が有利
例4:親族同士に揉め事が多い
家庭裁判所が監督する成年後見制度
制度選びは備えが鍵
制度選びは備えが鍵

どちらの制度も、活用できるタイミングが重要です。特に家族信託は元気なうちしか契約できないため、「まだ早い」と思っている間にチャンスを逃してしまうことも。逆に、判断能力が既に失われていれば、家族信託は選択肢から外れてしまい、成年後見制度一択となってしまいます。

そのため、親が元気なうちに家族で制度について話し合っておくことが最大の備えとなります。司法書士や信託に詳しい専門家に相談することで、より適切な制度設計が可能になります。

「親のお金を管理する」ときに注意すべきリスクとトラブル回避術

親の認知症が進行

親の認知症が進行し、お金の管理を家族が担う場面は年々増えています。しかし、その際に発生する誤解・対立・法的リスクは、想像以上に大きな問題となり得ます。家族間の信頼を保ちつつ、本人の生活を守るためには、慎重な対応が必要です。

まず押さえておきたいのは、親の財産を管理する際には「善意であっても無断で引き出す行為はトラブルの火種になる」ということです。たとえ本人のために使ったとしても、記録がなければ後々「使途不明金」と疑われる可能性があります。

特に注意すべきなのは、相続人となる兄弟姉妹の存在です。親のお金を管理している家族が一人だけだと、「勝手に贈与したのでは」「自分に有利な形で使っているのでは」といった疑念が生まれやすくなります。最悪の場合、相続の場面で調停や訴訟に発展するケースもあります。

そのような事態を避けるためには、次のような基本対応を徹底することが大切です。

また、本人の状態が中等度以上の認知症になると、「使われたくない」「盗まれた」と感じる物盗られ妄想が出現することもあります。これがきっかけで親子関係が崩れてしまう例もあるため、配慮のある声かけや、少額の現金を本人に持たせて自尊心を保つことも、非常に有効です。

さらに、「親の財産=介護に使って当然」という意識にも注意が必要です。たとえ介護費や生活費であっても、家族が自己判断で大きな金額を使うことは避け、あらかじめ『家族会議』などで用途の合意形成を図るようにしましょう。

将来的に相続トラブルを避けるには、以下のような管理ルールの策定が役立ちます。

このように、認知症の親のお金を扱うということは、単に「管理」することではなく、家族全体の信頼関係と相続を見据えたマネジメントなのです。だからこそ、金額の多寡に関わらず「透明性のある対応」を心がけ、必要なら専門家の意見を仰ぐことが、本人にも家族にも最良の結果をもたらします。

口座凍結後の対応手段と法的な解除方法

口座凍結後の対応手段と法的な解除方法
認知症を発症

親が認知症を発症し、金融機関によりその事実が把握されると、本人名義の銀行口座は凍結される可能性があります。この措置は、本人の資産を詐欺や悪用から守るために設けられているものですが、家族にとっては生活費や医療費、介護費の支払いができなくなるという重大な影響を及ぼします。

では、凍結された口座はどうすれば利用できるようになるのでしょうか。口座凍結に対する現実的な対応方法と、法的に解除するための流れを順に見ていきます。

まず押さえたい「口座凍結の仕組み」

口座凍結は、銀行が「本人の判断能力が不十分」と判断したときに行われます。これは家族からの申告だけでなく、本人が窓口で不自然な行動をとったり、振込詐欺の兆候が見られた場合にも実施されることがあります。

口座凍結後に取れる2つの主要な対応策

  1. 成年後見制度の利用

    最も確実な法的手段です。家庭裁判所に申し立てを行い、後見人が選任されれば、凍結された口座を解凍し、本人に代わって財産の管理が可能となります。

  2. 金融機関の個別対応制度の活用

    近年、全国銀行協会のガイドラインにより、一定の条件下で口座から引き出しが可能となる場合があります。ただし、あくまで「本人の生活のため」に限定され、柔軟性には限りがあります。

成年後見制度の申立てとその流れ

法定後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要です。必要書類の準備や診断書の取得、財産目録の作成などの工程があり、完了までには2~3か月ほどかかるのが一般的です。

  • 家庭裁判所に申立書類を提出
  • 医師による認知症の診断書を添付
  • 裁判所による調査・面談・審理
  • 後見人が選任される
  • 家庭裁判所から通知を受けて、金融機関に届け出ることで口座が利用可能に

注意点と現実的な選択

注意点と現実的な選択

後見制度の利用には費用がかかるほか、後見人には厳密な報告義務が課せられます。また、原則として本人の利益のためにしか資産を使えないため、生前贈与や不動産の売却といった相続対策には活用しづらい点に留意が必要です。

一方、金融機関の柔軟な制度は即効性があるものの、対応内容や可否は銀行ごとに異なります。したがって、利用中の銀行に直接問い合わせて、引き出し可否や条件を確認することが重要です。

どちらの手段を選ぶにせよ、いざという時に慌てないように、早めの備えと情報収集をしておくことが不可欠です。判断能力があるうちに、任意後見契約や家族信託など他の制度と組み合わせておくことで、よりスムーズな資産管理が実現できます。

家族間のトラブルを防ぐために守りたい3つの心得

親が認知症になり、お金の管理を家族が担う状況になると、誰もが「ちゃんとやらないと」と責任感を持つ反面、思わぬところで家族内の摩擦が生じることがあります。特に兄弟姉妹間で役割分担が曖昧な場合、「なぜ自分ばかりが動いているのか」「あの人は何もしていないのに文句だけ言う」など、心にわだかまりが生まれがちです。

こうしたトラブルは、制度ではなく、家族同士の信頼や気遣いによって防ぐことができます。まず、トラブル回避のために押さえておきたい「3つの心得」をご紹介します。

1「透明性」を優先し、報告・共有をこまめに

「透明性」を優先し、報告・共有をこまめに

最もトラブルになりやすいのが、「お金の流れが不明瞭だった」という理由による不信感です。親のお金を管理する立場になった家族は、収支の記録をきちんと残す、月ごとに簡単な支出報告をするなどの配慮を行いましょう。

特に相続が絡んでくると、金額の大小を問わず、あとから問題視されるケースがあります。通帳の写し、レシートや明細の写真、LINEでの簡単な報告など、証拠を残すだけでも「信頼」は守られやすくなります。

さらに、親の生活状況や介護の実情もあわせて共有すると、離れて暮らす兄弟姉妹にも「現場の大変さ」が伝わり、理解が得やすくなります。

2「勝手な判断」は避け、すり合わせを重視

「勝手な判断」は避け、すり合わせを重視

親の生活や財産管理に関する決定は、「自分の考えで良かれと思ってやった」ことが後に問題となる場合があります。たとえば、親の預金からリフォーム費用を出した、介護ベッドを購入した、という行動も、他の家族から見ると「一言もなかった」として不信の原因になりかねません。

そのため、家族全員の意見を聞く・方向性を確認する「すり合わせ」の場を持つことが欠かせません。形式的な話し合いではなく、電話やメッセージアプリ、定期的なZoom会議でも構いません。誰かの独断にならないように、決定事項をできるだけ明文化しておくことが重要です。

3「本人の気持ち」を軸に考える

認知症が進んでくると、本人の意向を正確に聞き取るのが難しくなることもあります。しかし、その中でも、「親が本来どんな考えを持っていたか」「何を望んでいたか」を思い出し、行動の軸に据えることが求められます。

「本人の気持ち」を軸に考える

例えば「財産を自分のためにではなく、家族の教育や生活のために残したい」と話していた親がいたとすれば、その考えを家族全体で共有し、それに沿った使い方をすることがトラブル回避につながります。

また、お金の管理だけでなく、「最後まで自宅で過ごしたい」「知らない施設に入るのは嫌だ」といった生活への思いも忘れてはなりません。介護の選択肢や支出の内容を、親の価値観を大事にしながら整えていくことで、家族間の協力体制も強まります。

認知症によるお金の管理は、技術的には制度や契約で対応できても、心の問題は制度では解決できません透明性・話し合い・本人の気持ちという3つの視点を常に意識しながら、ご家族同士が対話を重ね、信頼の上に立った関係性を築くこと。それこそが、将来的な相続トラブルを防ぎ、親にとっても子にとっても後悔のない選択につながるのです。

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